外壁や屋根の塗装を行う際、欠かせないのが足場と養生。作業を安全に進めるのはもちろん、塗装を美しく仕上げるためにも重要な下準備です。今回は足場の種類や養生の目的、チェックポイントなどを解説します。
足場の種類・費用
外壁・屋根リフォームでは、高所で作業するため足場が必要です。作業員の安全を確保するのはもちろん、安定した姿勢でていねいに作業を行えるようになります。塗装の仕上がりにも影響するので、必ず設置しましょう。
足場の種類はさまざまですが、主に使われているのは「くさび足場・枠組足場・単管足場」の3種類です。現場や周辺状況に合わせて、どれを使うか判断されます。
くさび足場(ビケ足場)
費用相場:800~1,200円/㎡
低層住宅で良く使われているのがくさび足場です。最近は強度さえ確認できれば、枠組み足場と同じような中高層の現場でも使えるようになりました。支柱にくさびを差し込んでハンマーで打ち込むだけで、他の足場よりも短時間で組み立てられるのが特徴。費用も安く抑えられます。
枠組足場
費用相場:1,000~2,000円/㎡
最もオーソドックスな足場で、マンション大規模修繕などにもよく使われるのが枠組み足場です。建枠を組み立てて、ジャッキや筋交い、鋼製布板などの部材を組み合わせます。しっかりとした強度のある作業床が立てられ、細部の作業もしやすいのが特徴です。費用はやや高めで、建物密集地や狭小地など狭いスペースには不向きです。
単管足場
費用相場:600~800円/㎡
枠組足場が設置できないような狭いスペースでよく使われるのが単管足場。鉄パイプのような単管にクランプを組み合わせてつくり、複雑な形状の現場や狭いスペースでも使えるのが特徴です。
養生の目的
養生とは建物をメッシュシートやビニールシートなどで覆う工程です。建物を保護して、塗料や水で周辺が汚れるのを防ぐという大切な目的があります。
窓やドアまで塗らないようにする
養生の1つ目の目的が、窓やドアなど塗装しない部分まで塗料がついてしまうのを防ぐことです。例えば窓枠は全体をビニールで覆い、周囲をマスキングテープで留めます。またビニールとマスキングテープが合体したような、マスカーという材料を使うこともあります。
室外機や車が汚れないようにする
2つ目の目的は、家のまわりにある室外機や車、木などを汚さないということです。ブルーシートやカバーを使って、家のまわりに置かれているものをカバーしていきます。
隣家への塗料や水の飛び散りを防ぐ
3つ目の目的は、隣の家や道路などを汚さないということです。建物全体を飛散防止ネットで覆うことで、吹き付け塗装の際に塗料が飛散したり、高圧洗浄で水が飛散したりするのを防ぎます。トラブルにつながらないよう、しっかり覆うことが大切です。
足場と養生のチェックポイント
足場と養生がきちんと行われているかというのは、次のようなポイントをチェックすると把握できます。
【ポイント1】足場代は安すぎ・高すぎない?
足場代は外壁塗装工事費の約2割と言われています。一般的な30坪くらいの広さの住宅であれば、足場代は15万前後になることが多いでしょう。
足場代が高すぎるのはもちろんのこと、安すぎるのにも注意。相場よりも極端に安い場合、どこか無理してコストダウンしている可能性があります。「今なら足場代無料です」と営業している業者の場合、他の工事費に上乗せしているだけという可能性が高いです。
【ポイント2】ぬかりなく養生されている?
養生忘れによるトラブルにも注意。建物をぐるりと取り囲む飛散防止ネットだけでなく、屋外のものが漏れなく養生されているか確認しましょう。
【ポイント3】社名をしっかりと出しているか?
街を歩いているとき、メッシュシートで覆われた工事中の家に「〇〇工務店」「〇〇リフォーム」などの大きく表示された幕が掲げられているのを見ることがありますよね。あれを「懸垂幕」と呼びます。
懸垂幕でしっかりと社名を出している会社は品質にもこだわっているので、安心して工事をまかせることができます。「そろそろリフォーム時期かな」「どこの業者に頼もうかな?」と思っている方は、ご近所で工事中の現場を意識して見てみると、1つの参考になるかもしれません。
まとめ
足場や養生をしっかりしている会社は、塗装作業もていねいにおこなっている可能性が高いです。事故やトラブルを防ぎ、美しい仕上がりにもつながってくるので、ぜひ足場や養生のていねいさというのも意識してチェックされてくださいね。
記事の監修者
設計士
西村佳晃
一級建築士 / 一般耐震技術認定者 / 宅地建物取引士
建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。
建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。