家族みんなが毎日使うトイレ。「もっと清潔な空間にしたい!」と、リフォームを検討している方も多いのではないでしょうか?
しかしマンションの場合、制約や構造上の関係でどんなリフォームでもできる訳ではありません。トイレは給排水が関係してくるので、特に注意が必要です。
今回はマンションでもできるトイレリフォームの種類や費用について解説します。後悔しないために気をつけたい注意点や、おしゃれな施工事例もご紹介するのでリフォームの参考にしてくださいね。
マンションのトイレリフォームの種類と費用相場
一口にマンションのトイレリフォームと言っても、便器のみを取り替える、トイレ全体をリフォームする、バリアフリー化するなど種類はさまざまです。
まずは各工事の費用相場や工期などを整理して、ご自宅に最適なリフォームを考えてみましょう。
便器のみを取り替える
トイレの便器は約10年で寿命を迎え、ひび割れや故障などが発生するようになります。老朽化や汚れやすさが気になったら、便器の交換タイミングです。
便器のみを取り替えるなら、工期は半日〜1日程度とスピーディー。リフォーム費用は20万円程度と、比較的リーズナブルに実施できます。
ただし便器は安いものだと5万円〜10万円程度、高機能モデルだと20万円〜30万円程度と大きな差があるもの。最新のトイレはそもそもの性能がいいので、費用と性能のバランスを考えて、ご自宅に合ったグレードを選びましょう。
トイレ全体のリフォーム
せっかく便器を交換するなら、いっしょに床・壁・手洗い場・収納棚などもリフォームするのがおすすめです。トイレのイメージを一新でき、すべて同じタイミングで工事することで無駄なコストもかかりません。
トイレ全体の工事なので、工期は2〜3日程度。費用は工事費込みで40万円〜が相場ですが、便器本体や収納棚の価格によって大きく異なります。優先順位を考えて、予算に納まるものを選ぶことが大切です。
バリアフリー
高齢の方や体が不自由な方でも使いやすいトイレ空間にするのが、バリアフリー化工事です。具体的には手すりをつけたり、段差を無くしたり、トイレスペースを拡張したりする工事が行われます。せっかくトイレをリフォームするならと、将来に備えてバリアフリーにする方も多くいらっしゃいます。
バリアフリーの内容によっても異なりますが、工期は2〜3日程度、費用は50万円程度~。トイレスペースの拡張など、マンションの間取りによってはできない工事もあるので注意が必要です。
トイレの種類と機能について紹介
組み合わせトイレ
組み合わせトイレは、便器・タンク・便座を組み合わせて使うタイプのトイレです。部品が壊れてしまった場合は、壊れた部分だけを変えればいいので、メンテナンス費用を安く抑えることができます。
ただし組み合わせて使う分凸凹が多いため、ほこりが溜まりやすく、掃除しづらいというデメリットも。またタンクに水を溜めて流すタイプなので、連続使用の際は水流が足りず、流しにくさを感じることもあります。
タンク一体型トイレ
タンク一体型トイレは、便器・タンク・便座が一体型になっているトイレです。組み合わせトイレに比べてすっきりとしたデザインの商品が多く、継ぎ目も少ないので、お掃除が簡単なのも嬉しいポイントです。
デメリットは、どこか一箇所が故障した時に、トイレを丸ごと交換しなければならないこと。また、こちらもタンクに水を溜めて流すタイプなので、連続使用には向いていません。
タンクレストイレ
タンクレストイレは、その名の通り水を溜めるタンクがないトイレです。タンクがない分コンパクトで、トイレ空間を広く使うことができます。すっきりしたデザインも人気の理由で、トイレリフォームでも「タンクレストイレに変えたい」というご希望を多くいただきます。凹凸が少なく、掃除も楽になりますよ。
タンクレストイレは直接水道に繋ぐので連続で流せますが、水圧不足で汚物を流しきれない可能性があるので注意。マンションの高層階など水圧が低い物件では、加圧装置付きタンクレストイレなど、低水圧に対応している商品を選びましょう。
システムトイレ
システムトイレは、トイレ以外に手洗い器や収納などを合わせてコーディネートできるトイレです。既存トイレの給排水管を分岐させて手洗い器も設置できるので、手洗い器設置のための大掛かりな給排水管工事が必要ありません。
トイレットペーパーや掃除道具を収納できるので、トイレがごちゃつかず、空間をすっきりさせることができます。ただし大型のキャビネットは、その分広いスペースが必要。自宅のトイレスペースに設置しても狭くならないか、よく確認して選びましょう。
便利なオプション機能
より快適にトイレを使えるようになる、最新トイレの便利なオプション機能をご紹介します。
節水機能
昔のトイレは1回13Lほどの水を使っていましたが、最近のトイレは約1/3〜1/4と少ない水でもしっかりと流せます。
自動洗浄機能
便器から人が離れたことを感知して、自動で洗浄してくれる機能。事前に台所用洗剤を入れて、便器内を泡洗浄できる商品もあります。
泡クッション機能
水面に泡をつくることで、用を足したときの飛び散りや音を軽減します。
リフトアップ機能
ボタン1つで便座がリフトアップして、隙間まで楽にお掃除できます。
脱臭機能
便器内やトイレ内のニオイ成分を吸い込んで、カートリッジを通して脱臭する機能です。
防汚機能
そもそも汚れがつきにくい素材の便器や、使用後に除菌水で除菌してくれるトイレもあります。
マンションのトイレリフォームの前に確認しておきたい事
マンションの管理規約
マンションのトイレリフォームを検討する際は、事前にマンションの管理規約を確認しましょう。
管理規約には、個人がリフォームする際の規則や制約が記されています。基本的に個人でのリフォームができるのは、所有権が自分にある「専有部分」のみです。
エントランスホールやエレベーターなど、マンションの住人が共用で使用する「共用部分」は、個人でのリフォームができません。また専有部分であったとしても、マンションごとに管理規約は異なるので注意が必要です。
排水方式
トイレの排水方法には「壁排水」と「床排水」の2種類があり、排水方法はマンションによって異なります。
壁排水
便器の後ろから壁に向かって排水管が繋がっているタイプ。公団住宅や一部のマンションで採用されています。
床排水
排水管が床下に繋がっているタイプ。戸建て住宅や比較的新しいマンションで採用されている、一般的な排水方法です。
簡単にいうと、2つの違いは「排水管が壁と床のどちらに繋がっているか?」です。
どちらかの排水方法にしか対応していない商品もあるので、リフォーム会社の現地調査で必ず確認されます。
増設・移設
マンションでトイレを増設・移設するときは、一般的なトイレ工事だけでなく給排水管や排気ダクトの工事が必要になります。
特に注意したいのが、排水管の勾配です。勾配がゆるすぎると水が流れにくくなるため、床下の構造やパイプスペースの位置を考えて慎重にトイレの位置を決めなければなりません。配管状況によっては、床の高さを数センチ上げなければならないケースもあるでしょう。
マンションのトイレリフォームで後悔しないために押さえておきたいポイント
ポイント1:広さ
マンションのトイレは、約0.4坪(80cm×120cm)が一般的です。車椅子や介助を考えたバリアフリートイレは、広めの約0.75坪(120cm×160cm)以上が目安となります。
今のトイレが狭いと感じるなら、リフォームでトイレ空間を広げる方法も。手軽に窮屈感を軽減したいなら、タンク付きトイレからタンクレストイレへ交換するのも有効です。タンクがなくなる分、便器の前方スペースにゆとりができ、立ち座りがしやすくなるでしょう。
ポイント2:内装
一見きれいに見える壁や床も、汚れやニオイが付着しているもの。便器を新しくすることで、汚れが目立ちやすくなることもあります。便器を交換するなら、いっしょに内装もリフォームするのがおすすめです。
トイレの内装材は、水に強いビニールクロスやクッションフロアなどがよく使われます。防汚・消臭機能をもった内装材なら、毎日の掃除もしやすくなるでしょう。
ポイント3:収納
予備のトイレットペーパーや掃除道具を入れる収納スペースも重要です。コンパクトなトイレ空間では、トイレの上部や手洗い器の下など、デッドスペースをうまく使って収納量を確保しましょう。
吊戸棚
手は届きにくいですが、大幅に収納量アップ。トイレットペーパーや洗剤のストックなどあまり頻繁に使わない物の収納に最適です。
ニッチ収納
壁の厚みを利用して、トイレ空間を狭めず収納スペースを増やせます。
キャビネット
手洗い器やカウンターの下などさまざまな場所に設置できます。
ポイント4:バリアフリー
高齢者や要介護・要支援者がいるご家庭はもちろんのこと、そうでない場合でも将来のことを考えてバリアフリー化を検討してみてはいかがでしょうか?トイレのバリアフリー化は補助金が使えることもあるので、施工前にお住まいの自治体やリフォーム会社に確認しましょう。
たとえば、廊下とトイレの間の段差を無くせば、つまづいて転倒するリスクを減らすことができます。立ち座りを安全に行うために、トイレ内に手すりを設置するのもおすすめです。スペース的に可能であれば、引き戸を採用すると出入りしやすいトイレになります。
マンションのおしゃれなトイレリフォーム事例5選
【事例1】上品なアースカラーでまとめた落ち着くトイレ
落ち着いたグリーンを基調に全体をアースカラーでまとめた、ほっと落ち着くトイレ。天然石でできたタイルは、壁一面でなく腰高より上のみに貼ることで、圧迫感を感じさせず上品に仕上げました。
以前は後ろに手洗い付きキャビネットがあるトイレでしたが、空間を広く使えるようにタンクレストイレに変更。廊下に面した収納の一部を取り込むことで、トイレ空間を狭めることなく手洗い器と収納を設置しました。
ワイドなカウンターには雑貨を飾るのはもちろん、トイレ中にちょっとスマホを置くのにも便利。コンセントも設置して、アロマディフューザーなども楽しめるようになりました。
【事例2】お気に入りを詰め込んだ遊び心満載のトイレ
壁にディスプレイスペースを設けた、遊び心満載のトイレ。趣味のバイク模型コレクションを眺められ、ついつい長居したくなるお気に入りの空間に仕上がりました。
全体は爽やかなグリーンでまとめ、所々使われたウォールナットの濃いめの色が、空間をキリッと引き締めています。トイレはタンクレスですっきりとした印象に。見た目がいいだけでなく、お手入れが簡単なのも嬉しいポイントです。
手洗い器は、手をかざすと自動で水が出る、便利で衛生的なものを採用しました。手洗いで使った水は、カウンター下を通ってトイレの排水に再利用されるので、環境にも家計にも優しいんですよ。
【事例3】自然素材ならではの機能で快適&おしゃれなトイレ
白い壁に個性的なヘリンボーンの床が映える、シンプルかつおしゃれなトイレ。壁・天井を白で揃えて、清潔感のある空間に仕上げました。
コテ跡がおしゃれな壁と天井は、自然素材「珪藻土」を使用。珪藻土には調湿・消臭効果があるので、トイレを快適な空間に保つことができます。
背面には以前の形をそのまま使用したニッチ収納があり、さらに使いやすくなるよう棚板を設置しました。棚板はカウンターと同じ濃いチェリー色で、白い空間をぐっと引き締めています。
さらに、すっきりとしたタンクレストイレを採用し、便器を可能な限り後ろに下げることで、広々とした空間を実現しました。
【事例4】高級感漂うホテルライクなトイレ
黒い壁に石の質感が美しい六角形のフロアタイルを合わせたシックなトイレ。トイレットペーパーホルダーやタオルハンガーをゴールドに統一して、高級感のある空間に仕上げました。
ペンダントライトは、中央ではなくあえてトイレの斜め後ろに設置。ガラスのシェードから生まれる光が、黒いクロスに印象的な光と影を映し出します。
トイレは、手洗いとウォシュレットが一体化したものを採用。凹凸がない滑らかな形状なので、お手入れも簡単で見た目にも野暮ったくありません。
以前のシンプルなトイレから、都会のホテルを思わせる高級感漂う空間へ生まれ変わりました。
【事例5】北欧風のアクセントクロスでかわいいトイレに大変身!
こちらのトイレは、便器などの設備をそのままに、クロスや床などの内装をリフォームしました。
背面の壁は、幾何学模様の北欧風クロスにチェンジ。さらにヘリンボーンの床と、ブラケットライトを採用することで、ナチュラルでかわいい空間に仕上げました。
こちらの施工事例のように、床材を交換したりアクセントクロスを取り入れたりするだけでも、パッと印象が変わって素敵なトイレになります。費用もお安く済むので、「便器はまだまだ使えるけど、トイレをイメチェンしたい」という方にもおすすめですよ。
まとめ
マンションの場合でも、便器の交換や内装工事などのトイレリフォームは可能です。
ただしマンションには管理規約があるので、トイレをリフォームする際は事前に管理会社に確認しましょう。集合住宅なので、近隣挨拶も忘れずに行いたいですね。
金額や工事日数はリフォーム内容によって異なりますので、ぜひ一度お問い合わせください。多くの実績をもとに、ご自宅に最適なトイレリフォームをご提案させていただきます。
記事の監修者
リフォームアドバイザー
藤本塁
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。