「子どもが巣立って個室がいらなくなった」「和室をなくしてLDKを広くしたい」などの思いを抱えていらっしゃる場合は、間取り変更リフォームを考えるタイミングかもしれません。間取りを変更することで空間を有効活用でき、生活がしやすくなるでしょう。
今回は間取り変更リフォームの実例を紹介するとともに、費用相場やリフォーム時の注意点、費用を抑える方法を紹介します。家の間取りが少しでも気になる方は、ぜひ参考にしてください。
間取り変更リフォームをする主なタイミング
間取り変更という大掛かりなリフォームは、主にライフスタイルの変化があったタイミングで検討する方が多くなっています。ここでは、どのようなライフスタイルの変化でリフォームを行うことが多いのか、どのような間取り変更が行われているのかを紹介します。
子どもや孫の誕生・成長
まずリフォームを考えるのが、子どもや孫が誕生した、あるいは大きくなってきたタイミングです。子どもや孫が生まれるまでは大人だけで生活しているケースが多く、間取りも大人が生活するのであれば不自由ないつくりになっているはず。しかし、子どもや孫が生まれると家事や育児がしやすい間取りのほうが便利になります。
例えば、独立型キッチンをリビングダイニングとつなげて、子どもの様子が分かるようにリフォームをしたり、子どもが大きくなって個室がほしいときに壁を設置したりするリフォームが考えられます。
子どもの進学・独立
次にやってくるリフォームのタイミングが、子どもの進学や独立です。残された子ども部屋は、子どもが帰省するタイミングでしか活用されない場合が多いです。いつかに備えて残しておくより、ウォークインクローゼットにしたり、壁を取り払ってLDKとつなげたりするなどのリフォームで空間の有効活用ができます。
リタイアメント
夫婦のどちらかがリタイアメントするタイミングで、間取りリフォームを考える方も多くいらっしゃいます。リタイアメント後は老後の暮らしを見据えて、バリアフリー改修をしたり、1階だけで生活が完結したりするリフォームを行うケースが多いようです。
また退職金が入る時期でもあるので、チャレンジしたかった間取りに変更し、セカンドライフを楽しむ方もいらっしゃいます。
間取り変更リフォームの具体的な事例
ここからは、間取り変更リフォームでよくある具体的な事例をご紹介しましょう。
LDKの間取り変更
- 建築タイプ:戸建て
- 費用:125万円
- 築年数:25年
元々独立型だったキッチンを移動し、リビングとダイニングにつなげた事例です。2×4工法で大きな間取り変更が難しいとされていた事例ですが、構造に影響がないよう綿密な計算をし、キッチンを移動させることに成功。
カウンターを設置し、まるでカフェのようなスタイルで食事ができます。つくってすぐ配膳ができる、効率のいい動線になっているのもポイントです。
間仕切りドア・壁の取り付け(1部屋→2部屋)
- 建築タイプ:マンション
- 費用:40万円
- 築年数:20年
空間を仕切っていた可動間仕切りを撤去し、壁を新たに設置した事例です。可動式間仕切りでは得られなかった個の空間が生まれ、ご家族それぞれの時間を過ごせるようになりました。
ただし、完全にドア1つだけの閉ざされた空間にするのではなく、部屋と部屋の間にウォークスルークローゼットを設けました。収納スペースを確保しつつ、ゆるやかに空間をつなぎます。子どもが大きくなって、プライバシーを確保したい時期になったら検討したいリフォーム方法です。
間仕切りドア・壁の撤去(2部屋→1部屋)
- 建築タイプ :戸建て
- 費用:60万円
- 築年数:23年
ダイニングとキッチンの間にあった壁を取り払い、広々としたLDKへと生まれ変わった事例です。キッチンからリビングやダイニングにいる家族の様子が見えるので、小さな子どもがいても安心して作業ができます。
部屋全体につながりが生まれた反面、人によっては調理中の手元が気になるケースも。この事例ではキッチンに腰壁を設けることで、手元をほどよく隠しつつ、作業効率を高めています。
間取り変更リフォームの費用相場
ここからは、間取り変更リフォームに必要な費用の相場をお伝えします。あくまでも一般的な費用となりますので、正確な金額はリフォーム会社にお問い合わせください。
間取り変更
ここではLDKと隣にある居室をつなげるケースを想定した費用をお伝えします。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
間仕切り壁の撤去 | 約5~10万円 |
ドアの解体・処分費 | 約1~2万円 |
引き戸の設置 | 約15~19万円 |
いざというときに客間にしたいなどの希望がある場合は、引き戸の設置が必要となりますが、その分金額も上乗せされます。
間仕切りの設置
居室に間仕切りを設置する場合の費用の目安を紹介します。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
間仕切り壁の設置 | 約5~20万円 |
壁に開き戸を設置 | 約10~20万円 |
間仕切り壁にコンセントを設置する場合、電気工事が必要となるのでさらに金額が上がります。
間仕切りの撤去
6畳の部屋の間にある間仕切りを撤去する場合の費用を紹介します。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
間仕切りドア・壁の撤去 | 約5~10万円 |
内装リフォーム | 約5~20万円 |
ドアや壁を撤去するだけでなく、つなげた部屋の内装を統一することが多いことから、内装リフォーム費用も発生します。
間取り変更リフォームの注意点
間取り変更リフォームを行う際、4つの注意点があります。知っておくといざリフォームをする際に困ることが少なくなるはずです。
住宅工法・構造によっては希望の間取り変更ができない
間取り変更リフォームは、住宅工法や構造によって制限がかかります。
戸建て
戸建て住宅の場合、以下の工法によって建てられます。
工法 | 自由度 | |
---|---|---|
木造 | 木造軸組在来工法 | 〇 |
2×4工法(木造枠組壁式工法) | △ | |
鉄骨 | 鉄筋コンクリート(RC)壁式構造 | △ |
鉄筋コンクリート(RC)ラーメン構造 | 〇 | |
軽量鉄骨造 | △ |
木造軸組在来工法とは、柱・梁・筋交いで建物を支える、ポピュラーな建築方法。柱・梁・筋交いで建物を支えるので、大幅な間取り変更も可能です。2×4工法は耐力壁で建物を支えており、間取り変更には制約を伴います。
鉄骨づくりの場合、RC壁式構造は耐力壁で構造を支えるため、大幅な間取り変更は難しいでしょう。一方、RCラーメン構造の場合は柱と梁で構造を支えており、自由な間取り変更が行いやすくなっています。戸建て住宅で主に採用される軽量鉄骨造は、強度を高めるために壁に筋交いが入っていることが多く、取り払えない壁も出てきます。
マンション
一方マンションは主に以下の構造となっています。
構造 | 自由度 |
---|---|
鉄筋コンクリート(RC)壁式構造 | △ |
鉄筋コンクリート(RC)ラーメン構造 | 〇 |
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)ラーメン構造 | 〇 |
重量鉄骨・軽量鉄骨ラーメン構造 | 〇 |
マンションの場合、壁式構造かラーメン構造かによって間取り変更の自由度が変わります。壁式構造は耐力壁で建物を支えており、大幅な間取り変更を行うと構造の強度に影響が出ることから、自由は間取り変更は難しいでしょう。
ラーメン構造の場合は自由な間取り変更を行えますが、取り払えない柱や梁が存在します。
排水経路や配線の位置によっては希望の間取り変更ができない
特にマンションで注意したいのが、排水経路や配線の位置は変えられないことがあるという点です。排水経路や配線を変えると上下階にも影響を与えることがあるため、水回りの間取り変更リフォームは特に制限が多くなります。場合によっては、希望の間取りに変更できない可能性もあるかもしれません。
戸建てでも排水経路や配線の位置によって、間取り変更に制限が出る可能性も。
たとえ位置を変えられたとしても、大掛かりな工事が必要となり、費用や工期が増える可能性が高くなります。排水経路や配線の位置変更を行ってまで間取りを変更しなければならないのか、よく考えるといいでしょう。
事前に管理組合への確認が必要となる(マンション)
マンションの場合、リフォーム前に管理組合への確認が必要です。たとえ構造的に間取り変更が可能だとしても、マンションの規約によって不可能な場合もあります。確認をしないままリフォームを進めると、最悪の場合工事中止や賠償金を求められる可能性も。
必ず管理組合に確認を取り、許可が出てからリフォームを進めましょう。
仮住まいの必要性をあらかじめ明確にしておく
間取り変更のような大掛かりなリフォームの場合、住みながら工事を進めることは難しいでしょう。仮に住めたとしても工期延長や工賃増額の原因となることも。スムーズにリフォームをするためにも、仮住まいを考えるといいでしょう。
仮住まいの場所としては、短期間であればホテル、数週間に及ぶようであればウィークリー(マンスリー)マンションなどがあります。近くに実家がある場合、しばらく身を寄せられないか相談するのもいいでしょう。
間取り変更リフォームの費用を抑えるためのポイント3つ
間取り変更リフォームは費用も増えがちです。ここでは、少しでも費用を抑えるためのポイントを3つ紹介します。
大掛かりなリフォームを避ける
費用を抑えるには、大掛かりなリフォームを避けることが一番です。スケルトンリフォームのような、家の間取りを丸ごと変更するような大掛かりな工事になると、費用も数百万円~数千万円規模になります。
先ほども触れたように、配管経路や配線の位置変更を伴う間取り変更を避けるなど、できるだけ今の構造を活かせるようなリフォーム方法を検討してみましょう。
施工期間の短さに重視した間取りを考える
施工期間が長くなればなるほど、リフォーム費用も増えてしまいます。短期間でできる間取り変更リフォームだと費用も抑えられるので、そういった間取りにできないか検討するといいでしょう。
たとえばキッチン・ダイニングをリビングとつなげたい場合、キッチンを移動させるよりも、ダイニングとリビングを隔てる壁を取り除くほうが工期も短くなります。
複数のリフォーム業者に見積もりを依頼する
リフォーム費用は業者によって差があります。最初から業者を絞らず、複数の業者に見積もり依頼をするといいでしょう。最低でも3社から見積もりをもらうことをおすすめします。
また間取り変更が得意な業者に依頼すると、費用が安くなるかもしれません。間取り変更の経験が豊富だと、希望のリフォーム内容を安く叶えるための提案を受けられるでしょう。
まとめ
間取り変更のリフォームは子どもや孫の誕生、子どもの独立、リタイアメントの3つのタイミングで行うケースが多くなっています。間取り変更をする際は、構造や工法、配管や配線の位置を確認しないと希望の間取り変更が叶わないケースも。
マンションの場合は規約も定められているため、必ず管理組合の許可をとりましょう。間取り変更リフォームは金額も高くなりやすいので、少しでも安く施工したい方は複数の業者に見積もりをとったり、間取り変更が得意な業者に依頼してはいかがでしょうか。
スペースアップはリフォームに特化した会社で、間取り変更リフォームも得意としております。お客様のご希望予算内で理想を叶えるために、プロがとことん現地調査をし、打ち合わせをさせていただきます。少しでも間取り変更リフォームが気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
記事の監修者
リフォームプランナー
鈴木淑子
二級建築士 / インテリアコーディネーター
お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。
お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。