ガレージは設置してから年数が経つと劣化し、いつかはリフォームが必要になります。ガレージのリフォームを検討していて、「リフォーム費用は具体的にいくらかかるか」が気になる方も多いのではないでしょうか。
今回はガレージ・カーポートのリフォームにかかる費用相場を解説します。リフォーム時におすすめの設備・機能や注意すべきポイントについても紹介するため、ガレージリフォームの必要性を感じている方はぜひ参考にしてください。
そもそも「ガレージ」とは?
ガレージとは、1方向に車両の出入り口があいていて、屋根と3方向以上の壁で完全に覆われている車庫のことです。出入り口にシャッターを設けると、完全に閉鎖された空間を作れます。
ガレージを設置するメリットは、自動車・バイクなどの車両を適切な環境で保管できることです。ガレージ内に車両を格納してシャッターを閉めれば、天候や花粉・黄砂による影響から車両を守り、汚れ・劣化を防げます。
シャッターの施錠により、保管場所の防犯性を高めることも可能です。
ガレージとカースペース・カーポートの違い
ガレージのように車両の保管ができる場所には、カースペースやカーポートもあります。
カースペースとは、単純に自動車を駐車できるスペースのことです。広義には「駐車場」を指し、住宅用語としては「柱や屋根、壁のない駐車スペース」を指します。
もう1つのカーポートとは、屋根と柱だけで構成された駐車スペースのことです。
3つの駐車スペースのうち、建物としての車庫に該当するのはガレージのみです。カースペース・カーポートを設置する際は建築確認申請が原則として不要であり、固定資産税も基本的にかかりません。
【施工内容別】ガレージのリフォームにかかる費用相場
ガレージリフォームを行った方全般のリフォーム費用としては、工事費込みで「150万~200万円」がボリュームゾーンです。
ガレージリフォームとひとくちに言っても、具体的にどのようなリフォームを行うかによってかかる費用は異なります。ここからは、ガレージリフォームの施工内容別に費用相場を詳しく説明します。
独立したガレージの新設・建て替え
住宅から独立したガレージの新設・建て替えをする場合は、基礎工事やガレージの組み立て・設置工事を行います。建て替えの場合は既存ガレージの解体工事も必要です。
リフォーム費用は、新設・建て替えをするガレージの収容台数が多いほど高くなります。具体的な費用相場は下記の通りです。
台数 | リフォーム費用相場 |
---|---|
1台分 | 100万~300万円 |
2台分 | 200万~400万円 |
3台分 | 250万~550万円 |
また、ガレージの構造によってもリフォーム費用は変動します。例として1台分のガレージを新設する場合、木造は100万~200万円、鉄骨では150万~300万円がリフォーム費用の目安です。
ビルトインガレージ(インナーガレージ)の新設
ビルトインガレージ(インナーガレージ)とは、建物内部に設けられた車庫のことです。
ビルトインガレージを新設する場合は、ガレージの設置方法によってリフォーム費用が変動します。
ビルトインガレージの設置方法 | リフォーム費用相場 |
---|---|
建物を増築して、増築部分に設置 | 150万~350万円 |
1階の部屋を壊して設置 | 60万~240万円 |
建物を増築する場合は、一般的な増築リフォームと同程度の工事内容が必要であり、リフォーム費用は高くなります。
1階の部屋を壊して設置する場合は、不要な壁・柱の撤去や補強工事が必要であるものの、建物を増築する場合よりも費用を抑えられるケースが多くなるでしょう。
既存ガレージの増築・拡張
自宅にガレージが設置済みである場合は、既存ガレージの増築・拡張をするというリフォーム方法もあります。
既存ガレージの増築・拡張にかかるリフォーム費用は「200万円以上」が相場です。
既存ガレージを増築・拡張する工事は難易度が高く、請け負ってくれる業者は限定されます。対応可能な業者であっても、まずは既存ガレージの規模や状態を見てからリフォーム可能かどうかを判断することになるでしょう。
掘り込み式車庫の設置
掘り込み式車庫とは、道路よりも高い位置にある住宅において、敷地側面の擁壁を掘り込んで設けられるガレージのことです。
掘り込み式車庫の設置にかかる費用は、収納台数と擁壁の高さによって変動します。1台分の広さを作る場合にかかる費用相場は、下記の通りです。
擁壁の高さ | リフォーム費用相場 |
---|---|
1m未満 | 200万円 |
1~3m | 400万円 |
3~5m | 600万円 |
5~8m | 800万円 |
なお、住宅が道路より高い位置にあっても、掘り込み式車庫の設置ができるとは限らない点に注意してください。安全性の観点から施工できないと判断されるケースもあります。
【種類別】カーポートのリフォームにかかる費用相場
「ガレージへのリフォームは予算を超えてしまう」「極力低コストで車が汚れない駐車場を作りたい」という場合は、カーポートへのリフォームがおすすめです。
ここではスタンダードなタイプのカーポートを3種類挙げて、それぞれのカーポートリフォームにかかる費用相場を紹介します。
片側支持タイプ(1台用)カーポートの新設
片側支持タイプは屋根を支える柱が一辺にのみ付いている、1台用のカーポートです。カーポート本体の価格が安くなっていて、基礎に埋め込む柱の本数も少なく済むため、設置費用が安く済みます。
片側支持タイプのカーポート新設にかかる費用は、「15万円程度」が相場です。
片側支持タイプは「1台分の駐車スペースがあれば十分」「カーポートを設置したいけど敷地の広さにあまり余裕がない」という方に向いています。
両側支持タイプ(2~3台用)カーポートの新設
両側支持タイプは屋根を支える柱が左右の二辺に付いている、2~3台用のカーポートです。片側支持タイプと比べるとカーポート本体の価格が倍以上高くなっていて、基礎に埋め込む柱の本数も多いため、設置費用は高くなる傾向があります。
両側支持タイプのカーポート新設にかかる費用は、「25万円以上」が相場です。当然ながら2台用よりも3台用のほうが高くなります。
両側支持タイプのカーポートは、「家族で複数台の自動車を所有している」「駐車が苦手だから広いカーポートにしたい」という方におすすめです。
また、「屋根がある」「基礎で固定されている」「床面積が10平方メートル以上である」建物を建築する際は、建築確認申請が必要である点に注意してください。2~3台用のカーポートは床面積を広く取るため、新設の際に建築確認申請をしなければなりません。
サイドパネル付きカーポートの新設
サイドパネル付きカーポートとは、側面にサイドパネルを付けたタイプのカーポートです。屋根とサイドパネルによって車両を保護できるため、雨や雪だけでなく紫外線・太陽熱による影響も防ぎやすくなります。
サイドパネル付きカーポートの新設にかかる費用は、1台用のカーポートであれば「40万円程度」、2~3台用であれば「70万円以上」が相場です。
なお、サイドパネル付きカーポートは、通常のカーポートよりも風の影響を強く受けます。サイドパネル付きカーポートを新設する場合は耐風圧性のある製品や、サポート柱を取り付けられる製品を選びましょう。
ガレージのリフォーム時におすすめ!便利な設備・機能5選
ガレージのリフォームを検討する際は、ガレージ用の設備・機能の導入も検討しましょう。ガレージ内での作業を楽にしたり、車両の出し入れが簡単にできる設備・機能があると、ガレージの利便性がさらに高まります。
ただし、設備・機能を追加すると、その分リフォーム費用が高くなる点には注意してください。
以下では、ガレージに導入するおすすめの設備・機能を5つ紹介します。
照明
ガレージ内は夜間はもちろん、天候の悪い日には日中でも暗くなります。車両の出し入れやガレージ内での作業を安全に行えるように、ガレージには照明を設置しましょう。
ガレージ用の照明は、ガレージ内を照らす照明だけでなく、ガレージ外を照らす分も必要です。ガレージ内はシーリングライトやダウンライト、ガレージ外にはスポットライトなどを設置すると、ガレージの内外を明るく照らせます。
通風設備(換気扇・排気ダクト)
ガレージ内にはガソリン・タイヤなどのニオイや排気ガスがこもります。空気の入れ替えや強制排気ができるよう、換気扇・排気ダクトなどの通風設備を設置することがおすすめです。
通風設備を設置すると、ガレージ内でのメンテナンス作業も快適に行いやすくなります。
住宅と一体化しているビルトインガレージや、車庫が地下部分にありガスが自然排気されにくい掘り込み式車庫では、特に通風設備の設置を検討しましょう。
収納棚
収納棚にはさまざまなアイテムをしまえて、ガレージ内での作業や車両のメンテナンスをするときに便利な設備です。ガレージの用途を考えて、必要となる収納棚の数・大きさを決めておくとよいでしょう。
なお、床に設置するタイプの収納棚はガレージ内が狭くなり、駐車時に邪魔になる可能性もあります。ガレージの面積が十分にない場合は、ウォールラックや吊り戸棚を設置することがおすすめです。
コンセント・水栓
コンセント・水栓は、車両のメンテナンスやDIY作業に欠かせない設備です。コンセントは掃除機や電動工具の電源を取るために必要であり、水栓は洗車作業に使います。
特に高圧洗浄機を使用する場合は、コンセント・水栓の両方を使用します。コンセントと水栓が離れた位置にあると高圧洗浄機を使えないケースもあるため、両者をなるべく近い位置に配置するとよいでしょう。
電動シャッター
電動シャッターは、専用のリモコンでシャッターの開閉ができる設備です。電動シャッターを導入すれば手動でシャッターの上げ下げをする必要がなくなり、自動車に乗った状態のまま電動シャッターの開閉操作が行えます。
電動シャッターは手動のシャッターよりも開閉時の音が抑えられているため、騒音対策ができる点も魅力です。
ガレージをリフォームする際におさえておくべき3つのポイント
ガレージは車両の駐車・保管に適したスペースであり、設置によるメリットが多いものの、いくつかの注意点もあります。
ガレージの新設やリフォームを検討している方は、リフォーム計画のポイントや注意点を把握して、満足のできる施工ができるようにしましょう。
最後に、ガレージをリフォームする際におさえておくべきポイントを3つ紹介します。
予算を決めておく
ガレージのリフォーム費用はさまざまな要素によって増減します。リフォームで後悔しないためには、しっかりと予算を決めておき、予算内に収まるようにリフォーム計画を組み立てることが大切です。
リフォーム費用の予算を決める際は、リフォーム・新設をしたいガレージの種類・規模における費用相場をベースに考えましょう。
例を挙げると、独立した2台分のガレージを新設する場合は「200万~400万円」をベースとします。導入したい設備・機能も検討して、「ガレージに400万円、設備に100万円で合計500万円で施工できる業者を探す」のように予算を設定します。
建築確認申請・固定資産税が必要となることを理解しておく
ガレージをリフォーム・新設する際は、建築確認申請をしなければなりません。
建築確認申請とは、建物の新築・増改築前に必要となる手続きのことです。自治体や指定確認検査機関に申請して、工事が建築基準法や自治体の条例に適合しているかを確認してもらいます。
また、設置したガレージは建物と見なされるため、固定資産税がかかる点にも注意してください。
新築ガレージの固定資産税は「建築費×60%(資産評価額の目安)×1.4%(固定資産税の税率)」という計算式で算出します。新築ガレージの建築費が500万円であった場合、固定資産税は単純計算で4万2,000円です。
車の将来的な保有台数の変化も考慮して駐車スペースを検討する
ガレージの規模や広さは「現在の自動車のサイズと保有台数」で考える方が多いでしょう。
しかし、現在はサイズの小さな軽自動車に乗っていても、将来は大型車に買い替えるケースはあります。このように、ライフステージの変化に伴って自動車の保有台数が増減するケースも珍しくありません。
現在の状況だけを考えてガレージリフォームを行うと、状況が変化したときに車の出し入れが難しくなったり、そもそも駐車できなくなったりする可能性もあります。
将来的な車両の買い替えやライフステージの変化も考慮した上で、業者とよく相談しながら適切な駐車スペースを検討しましょう。
まとめ
ガレージリフォームの一般的な費用相場は「150万~200万円」です。
リフォーム費用はガレージの種類によっても違いがあり、建物を増築して設置するビルトインガレージや、掘り込み式車庫の設置では費用が高くなる傾向があります。照明・通風設備・電動シャッターなどの設備を導入する場合は、費用相場がより高くなるでしょう。
ガレージのリフォームには紹介した3つのポイントもあります。予算や必要な規模などを意識し、ガレージリフォームに知識のある業者に相談することがおすすめです。
記事の監修者
リフォームアドバイザー
栗山正寛
二級建築士/二級施工管理技士
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。
お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。