リフォームコラム

テレワーク(在宅勤務)のリフォームのポイントと項目別の費用目安

テレワークで働き始めたとき、「自宅の間取りや設備がテレワークに向いていない」と感じる方は多いのではないでしょうか。テレワークで快適に働きやすい環境を整えるにはリフォームがおすすめです。

テレワークのリフォームにはいくつかのポイントがあり、施工内容ごとの費用目安も押さえておくべきと言えます。

今回はテレワークを快適にするリフォームのポイントと項目別の費用目安を中心に解説し、リフォームのアイデアや費用を安く抑える方法も紹介します。

テレワーク(在宅勤務)によくある不満

近年推進されている働き方改革や、新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業の勤務形態としてテレワーク(在宅勤務)が普及しました。

テレワークで働く場合、自宅でのワークスペースとしては一般的に書斎が想定されています。しかし、十分な書斎スペースのある住宅は決して多いとは言えません。

自宅内の狭いスペースでテレワークをする場合は、下記のような不満が生じやすくなります。

  • 家族の声が気になって仕事に集中できない
  • 仕事と私生活の切り替えがしにくい
  • 机まわりの広さや収納に不便さを感じる
  • キーボードの音やWeb会議の音声が外に響かないか気になる

こうした不満を解決するためには、テレワークに向けたリフォームを検討するのがおすすめです。ポイントを押さえたリフォームを行うことで、快適なテレワークができる環境を自宅につくれます。

テレワークを快適にするリフォームのポイント5選

テレワークのリフォームでは、手を加えたい部屋やこだわりたいポイントを明確にしないと失敗につながる可能性があります。仕事のしやすさだけでなく、自分や家族の生活への影響や具体的な間取りも考えることが大切です。

テレワークを快適にするリフォームのポイントを5つ紹介します。

ワークスペースの場所

まずは、執務場所となるワークスペースの場所を決めましょう。
ワークスペースはさまざまな場所につくることができ、大まかには「個室」「オープンスペース」の2つに分けられます。
仕事中は家族に声を掛けられたくない、物音などの雑音を遮断したいという場合は、間取り変更もしくは間仕切りの設置による個室がおすすめです。

対して、子どもの声や動きを感じながら仕事をしたいという場合は、リビング・パントリーをはじめとしたオープンスペースの一角をワークスペースにするとよいでしょう。
パーテーションやロールスクリーンを使って、オープンスペースに半個室のワークスペースをつくる方法もあります。

ワークスペースの広さ

テレワークではパソコンを使ったデスクワークを行うため、最低限としてパソコン設置が可能なデスク・椅子を置けるだけの広さが必要です。

必要なワークスペースの広さは、一般的に下記の通りです。

パソコンの種類奥行
ノートパソコン60~80cm45~60cm
ノートパソコン+モニター100~120cm60~80cm
デスクトップパソコン60~80cm60~80cm

また、仕事で使用するファイルや筆記具・電子機器などの収納スペースも必要です。デスクまわりに収納ボックスを設置する場合は、取り出しや移動が簡単にできるようにワークスペースをより広く取りましょう。

集中しやすさ

個室・オープンスペース・半個室といった種類を問わず、ワークスペースをつくる場合は集中しやすさが最も重要です。

特に「音」は、集中力を阻害する要因となります。ワークスペースとしてしっかり機能する空間をつくるためには、吸音素材の床材・壁材を使用することも一案です。

また、「照明」も集中力に影響する要因です。
照明は明るすぎても暗すぎても目に負担がかかり、集中力低下を招きます。LED照明であれば、4~6畳で1300~2300lm、6~8畳では2300~3300lm程度の明るさが適切です。

家族の生活のしやすさ

テレワークのリフォームでは自宅内に今までなかったスペースをつくることになるため、家族の生活動線にも少なからず影響を及ぼします。
特にオープンスペースを使う場合は家族の生活動線を大きく妨げる可能性があり、家族全員がストレスを感じることもあるでしょう。

テレワークと暮らしを両立するには、家族の生活のしやすさも考えなければなりません。ワークスペースの場所や設備を考える際はあらかじめ家族で話し合って、お互いが納得しておくことが大切です。

家族の生活動線になるべく影響を与えたくない場合は、ワークスペースを個室にしたり、生活で利用しにくいデッドスペースを使ったりする方法があります。

コンセントの数と場所

コンセントの数と場所は、リフォームをするときに意外と見落としがちなポイントです。
テレワークではパソコン・スマホをはじめとした電子機器を使用するため、コンセントは不可欠と言えます。

「デスク設置場所の近くにコンセントがあればいい」と考える方が多いものの、仕事をしているうちにコンセントの数や場所が悩みになるケースは少なくありません。例えば「デスク近くにプリンターとWi-Fiルーターを設置したい」「離れた場所に加湿器・空気清浄機・コーヒーメーカーなどを置きたい」と考える方もいるでしょう。

テレワークを快適にするためのリフォーム計画では、実際に仕事をするときのイメージをして、ワークスペースに必要なコンセントの数と場所を考えることが重要です。

【項目別】「テレワークを快適にするリフォーム」にかかる費用目安

テレワークを快適にするリフォームにかかる費用は「10万~200万円」と大きな幅があります。施工内容によってリフォーム費用は大きく異なるため、まとまった相場は出しにくいと言えるでしょう。

ここからは施工内容ごとに項目を分けて、それぞれの費用目安を紹介します。

書斎の増設

書斎の増設にかかる費用は、単純に空きスペースに書斎を増設する場合と、間取り変更して書斎を増設する場合とで異なります。

空きスペースに書斎を増設する場合は、壁紙の張り替えや収納追加など内装工事が中心となります。費用の目安は下記の通りです。

壁紙の張り替え約3万~5万円
収納の追加約6万~85万円

空きスペースにもともと十分な収納があれば、費用を10万円以下に抑えることもできます。

一方、間取り変更して書斎を増設する場合は、壁などの解体費用や床材の張り替えなどがかかります。

壁の解体費用約5万~15万円
床材の張り替え約9万~20万円
壁紙の張り替え約3万~5万円
電気工事費用約5万~10万円
収納の追加約6万~85万円

合計すると約30万~120万がかかる計算です。

また、間取り変更ではなく増築を行う場合は、外壁の撤去や基礎工事・補強工事なども必要となり、約300万円~の費用がかかります。

間仕切りの設置

広い部屋を区切って書斎にする場合は、間仕切り壁を設置します。
オープンスペースの一角にワークスペースをつくる場合は、パーテーションやロールスクリーンなどの設置もおすすめです。

それぞれの方法でかかる費用目安は下記の通りです。

間仕切り壁の設置約8万~25万円
パーテーションの設置約15万~20万円
ロールスクリーンの設置約1万~3万円

間仕切り壁とひとくちに言っても、一般的な壁のほかに引き戸タイプ・折れ戸タイプや、アコーディオンカーテンタイプもあります。ワークスペースとして使わないときは広い部屋にしたい場合は、必要に応じて壁を寄せられる製品を設置するとよいでしょう。

壁・床材の張り替え

ワークスペースを集中しやすい環境にしたいときは、落ち着きあるデザインの壁紙(クロス)に張り替えましょう。一般的な壁紙ではなく、調湿や消臭機能がある壁材に張り替えるという方法もあります。

また、椅子を引くときの音が響かないようにするには、床材をコルクタイルやカーペットなどの吸音・防音性がある素材に張り替えることがおすすめです。

それぞれの施工内容にかかる費用の目安は、下記の通りです。

ビニールクロスの張り替え約3万~7万円
ハイグレードな壁材への貼り替え約8万~20万円
コルクタイルへの張り替え約11万~20万円
カーペットへの張り替え約4.5万~12万円

防音リフォーム

ワークスペースの防音性をより高めたい場合は防音リフォームを行いましょう。防音リフォームは主に壁・床・窓の3か所に行う必要があります。

壁の防音リフォームでは壁内部に防音材を入れます。壁表面に吸音パネルを設置するという方法もあるものの、しっかりと防音するためには壁内部への防音材の施工を選んだほうがよいでしょう。

床の防音リフォームは、防音フローリング・カーペットへの張り替えが必要です。窓部分は二重窓にすると屋外への音漏れを防ぎやすくなります。

壁内部への防音材の施工約12万~25万円
防音フローリング・カーペットへの張り替え約6万~23万円
二重窓への交換約8万~15万円

照明の増設

書斎の増設をしたり、オープンスペースにワークスペースをつくったりした場合には、照明の増設が必要です。
照明は明るさだけでなく、光の色味や機能性も考慮して選びましょう。

LED照明には温かみのある「電球色」、自然な光色に近い「昼白色」、青みがかった色の「昼光色」などがあります。テレワークには集中力を高められる昼光色の照明がおすすめです。

また、機能面では明るさ調整ができる製品を選ぶとよいでしょう。ほかにも「ライティングレール」は設置費用がかかるものの、照明位置を簡単に変更できるようになります。

照明の増設約0.4万~5万円
ライティングレールの設置約3万~5万円

電源・コンセントの増設

デスクまわりのコンセント事情を解決するには、コンセントの増設が必要です。
デスクを設置する場所をあらかじめ決めておき、デスクから手が届く位置にコンセントを増設しましょう。予算に余裕がある場合はデスクとは離れた位置にもコンセントを設置すると、仕事とは別目的でコンセントを使いたくなったときに便利です。

また、エアコンを設置する場合はアース端子がついているエアコン用電源を設置します。

コンセントの増設約0.5万~2万円
エアコン用電源の増設約1.3万~3万円

テレワークを快適にするリフォームのアイデア5選

テレワークのリフォームでは、仕事のしやすさや使いやすさなどを考えたアイデアを組み込むことがおすすめです。
以下では、テレワークを快適にするリフォームのアイデア5つと費用目安を紹介します。テレワークから通常のオフィス勤務に戻った場合にもスペースを有効活用できるアイデアもあるため、ぜひ参考にしてください。

リビングの一区画にワークスペースをつくる

リビングの一区画にワークスペースをつくる方法はさまざまなスタイルがあり、広いリビングほど自由度を高められます。

オープンスタイルでつくる

リビングの一角にデスクと椅子を置くだけの方法です。家族の視線や声は気になりやすいものの、見渡しがよく開放感のある環境で仕事ができます。

主な施工内容は「照明の増設」「コンセントの増設」で、費用目安は約1万~7万円です。

半個室スタイルでつくる

オープンスタイルに高い間仕切り壁やパーテーションを加えると、ハーフクローズドなワークスペースをつくれます。費用目安は約9万~32万円です。

個室スタイルでつくる

リビングと隣接する部屋を削り、個室のワークスペースを作るスタイルです。リビングに近く、かつ視線や音を遮れる環境で仕事ができます。施工内容は書斎の増設に近くなり、費用目安は約30万~120万円となるでしょう。


大型パントリー内にワークスペースをつくる

キッチンに大型パントリーがあり、あまり活用できていない場合は、パントリー内にワークスペースをつくるというアイデアもあります。
パントリーはもともと収納スペースであるため、収納の確保がしやすいことが魅力です。周囲が壁に囲まれた秘密基地のような見た目になり、集中力を高めやすいワークスペースをつくれるでしょう。

ただし、パントリーは照明が薄暗いことが多く、そのままでは内装も快適とは言えません。「壁・床材の張り替え」「照明の増設」「電気工事」などが必要であり、約20万~50万円が費用目安となります。

階段下のデッドスペースを活用してワークスペースをつくる

階段下にデッドスペースがある住宅では、環境を整えてワークスペースにつくりかえることができます。階段下は基本的に生活動線から外れていて、ワークスペースをつくっても家族の生活に影響を与えにくい点がメリットです。
ただし、階段や廊下を歩く足音は直に響いてくる点には注意してください。家族の生活音がどの程度気になるかを考えてから検討したほうがよいでしょう。

施工内容では、「壁・床材の張り替え」「照明の増設」「電気工事」や、必要に応じて「間仕切り壁の設置」も行います。費用目安は約30万~75万円です。

納戸や押入れをワークスペースに変える

住宅内にあまり使っていない納戸や押し入れがあれば、ワークスペースに変えることを検討してみましょう。テレワークをする必要がなくなった場合は、再び物置スペースに戻すなどで有効活用できます。

納戸が普通の部屋と同じ構造であれば、大幅なリフォームをしなくてもワークスペースとして使えます。施工内容は主に「壁・床材の張り替え」「照明の増設」「電気工事」で、約20万~50万が費用目安です。

一方、押し入れの場合は内装などに手を加える必要があります。広さが十分ではない場合は拡張も必要となるでしょう。「壁・床材の張り替え」「照明の増設」「電気工事」に加えて、拡張のために「壁の解体費用」がかかる場合は約25万~65万円が費用目安となります。

寝室にウォークインクローゼット兼ワークスペースをつくる

歩けるだけの広さがあるウォークインクローゼットは、住宅リフォームで人気の施工内容です。
テレワークのリフォームにおいても、寝室にウォークインクローゼット兼ワークスペースをつくってみてはいかがでしょうか。オフィス勤務に切り替わってワークスペースが不要になっても、ウォークインクローゼットのスペースを広げて有効に活用できます。

ウォークインクローゼットの新設にかかる費用は、約18万~80万円です。ワークスペースを兼用する場合は「照明の増設」「電気工事」が必要となり、約20万~90万円が費用目安となるでしょう。

快適なテレワークに向けたリフォーム費用を安く抑えるには?

快適なテレワークに向けたリフォーム費用を安く抑えるには、補助金制度の活用がおすすめです。

例えば「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、要件の1つである「その他性能向上リフォーム工事」にテレワーク環境整備改修が含まれています。テレワークスペースの改修工事だけでは補助を受けられないものの、その他改修工事も行えば補助金を受け取れる可能性があるでしょう。

また、自治体によってはテレワークスペースの設置が補助対象となる制度も用意されています。
例として「静岡県テレワーク対応リフォーム補助制度」は、下記の要件を満たすことで補助金を受け取れる制度です。

対象工事の主な要件下記いずれかの工事を行う
  • 机の作り付け
  • 間仕切り壁等の新設(スペースの確保)
  • 間仕切り壁等の新設(個室の確保)
補助金の額1戸あたり上限10万円
(補助対象工事費用の1/2以内・1,000円未満は切り捨て)
(出典:静岡県「令和6年度こどもみらいテレワーク対応リフォーム補助制度」/https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/kenchiku/garden/1015915.html

テレワークリフォームで失敗しないためには、知識のあるリフォーム業者に依頼することも重要です。知識のあるリフォーム業者は、補助金制度を活用しなくても費用をなるべく抑えられる施工を提案してくれます。

まとめ

テレワークを快適にするリフォームでは、ワークスペースの場所・広さや仕事への集中しやすさはもちろん、家族の生活動線やコンセントの配置も考える必要があります。

リフォームにかかる費用目安は場所によるものの、大まかには「10万~200万円」です。費用をなるべく抑えるには補助金の活用や、テレワークの間取り・設備に詳しいリフォーム業者に依頼しましょう。

スペースアップでは暮らしを快適にするリフォームを提案しております。テレワークのリフォームでお悩みの方は、スペースアップにご相談ください。

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記事の監修者

リフォームアドバイザー

藤本塁

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。