リフォームコラム
水平・垂直そして直角

水平・垂直そして直角

我々はほとんど水平と垂直、そして直角に囲まれた建物の中で生活をしています。
では、皆様のご自宅は水平、垂直、平面の矩手(直角)ともに問題ないでしょうか?

リフォーム工事をする際に、まず我々施工側を悩ますのがこの水平、垂直、平面の矩手(直角)です。おそらく新築当時は水平、垂直、平面の矩手も問題なく(まれにおかしなこともありますが・・・)建てられていたと思います。ですが、長い時を経て、地盤の変動や埋め戻された土地での地盤沈下、木造であれば材木の痩せやひねり、むくみや反りなど様々な影響を受けて様々な問題が発生していることがあります。

例えば、キッチンを新しくしたい。

今は問題なく使用されているキッチンですが、毎日使われているキッチンだけに、床の高さ、壁の垂直、平面の矩手など、徐々に変わっていることに気付かないなんて事もあるかと思います。そこへ新しいキッチンを据付けると、奥と手前で隙間の幅が違う、右と左で高さが違う、もっと悪い状態になるとキッチンが入らない!なんて事にもなりかねません。

また、今はキッチンダイニングとリビングが別の部屋になっているけど、間仕切(壁)を撤去して、LDKの一部屋にしたい。予算の都合でフロア(床)の仕上げは上貼で。

ということも多くありますが、これも注意が必要です。仮にキッチンダイニングの床の高さはよかった(水平であった)としても、リビングの床に多少でも傾きがあれば、一部屋としたときに、元々の間仕切(壁)であった箇所を境目にリビング側の床が歪んでいるように感じられることがあります。元々は気にならなかった床の不陸もリフォームをし、一部屋としたことで水平な床と傾きのある床とで歪んでいるような違和感を覚えるものです。

リフォームをお考えになる際にはご自宅の水平、垂直、平面の矩手(直角)の確認をされることをお勧めいたします。

では、どうして確認すればいいのか。

経験のある方、あるいは、知識のある方はすぐに水準器(水平器、レベルともいいます)を思い浮かべられたかと思います。確かに水準器は水平、垂直を調べるための道具ですので、正しい選択ではあります・・・が、水準器を使用されて水平、垂直を確認される際には注意点が2つあります。

まずは使用する際に、そもそもその水準器が正しいのかどうか、くるっていないかどうかを確認する必要があります。どこでもけっこうですので、水平っぽいところ(床や机など)でそのまま使用し気泡の位置を確認してください。そのあと必ず、水平方向に180度回転させて(左右を反対にする)改めて気泡の位置を確認してください。そのときに、最初に使用したときと同じような気泡の位置であれば、ほぼ正しいと思っていただいて大丈夫です。

そして、もうひとつ、大変重要な点があります。

それは、例えば10cmの水準器を使用したとすれば、その10cmの間の水平、垂直しか計れないという点です。その水準器が20cmのものであれば20cmの間、30cmのものであれば30cmの間しか計れません。建物は様々な材料を使用して構成されていますが、その様々な部分で上がったり、下がったり、出たり、入ったりしています。その結果、部屋全体で、あるいは、建物全体で傾いている、偏っている、ひねっているということになります。一部分だけ調べて、家が傾いている!と心配はなさらないようにしてください。水準器を使用して水平、垂直の確認をされる際には十分にご注意ください。

もし、ご自宅の水平、垂直、平面の矩手(直角)が気になられる方がいらっしゃいましたらお見積りの際にでもお気軽にお声掛けください。当社スタッフが専門的な機械、道具でお調べさせていただきます。

記事の監修者

設計士

西村佳晃

一級建築士 / 一般耐震技術認定者 / 宅地建物取引士

建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。

建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。