リフォームコラム
キッチンレイアウトについて

キッチンレイアウトについて

リフォームを考えるときに、キッチンのレイアウトはとても大切なポイントです。
毎日使うキッチンだからこそ、使い勝手や家事動線の効率を良くしたいという要望はとても多く、それぞれのこだわりが現れる部分でもあります。

使いやすいキッチンレイアウトにするには、間取りだけでなく食器の量や家族構成など、生活スタイルによる配慮も欠かせません。

今回は、キッチンを使いやすくするレイアウトのポイントを紹介します。ご自宅のキッチンリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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「使いやすいキッチンレイアウト」の基本的な考え方

使いやすいキッチンレイアウトにするためには、動きやすい家事動線が大切です。家事動線を良くする、3つのポイントを解説します。

POINT1:ワークトライアングル

ワークトライアングルとは、コンロ・シンク・冷蔵庫の3点を結んだ三角形の3辺の合計を、360〜660cm以内にする考え方です。
距離の合計が長すぎると、調理中の移動距離が長くなってしまい、効率良く作業できません。反対に短すぎてもスペースに余裕がなく、調理しにくくなるので注意が必要です。

ワークトライアングルは、できるだけ正三角形に近い方が、効率良く調理ができるといわれています。コンロ・シンク・冷蔵庫それぞれの場所に、2〜3歩で移動できる距離で考えれば、移動も負担にならず十分な作業スペースが確保できるでしょう。

それぞれ理想的とされる距離は、以下の通りです。

  • シンクからコンロの間=120~180cm
  • シンクから冷蔵庫の間=120~210cm
  • コンロから冷蔵庫の間=120~270cm

コンロやシンクの位置は、間取りに制限される場合が多いですが、冷蔵庫は比較的動かしやすいため、配置を工夫しやすいです。

スペースに余裕があるなら、冷蔵庫はキッチンの奥側よりも、通路側に設置するのがおすすめ。通路側に冷蔵庫を配置しておけば、調理中に家族が飲み物を取りに来たときも、お互いぶつかる心配がなくスムーズに行き来できます。

なおコンロと向かい合う位置に冷蔵庫を設置してしまうと、調理中に冷蔵庫の扉を開ける動作が危険になる可能性も。ワークトライアングルを重視したとしても、できるだけ冷蔵庫がコンロと向かい合う位置は避けましょう。

POINT2:ゴミ箱・食器棚・コンセントの位置

ゴミ箱・食器棚・コンセントの位置も、使いやすいキッチンのために考えておきたいポイントです。

特にゴミ箱は置き場所を決めておかないと、スムーズな家事動線を妨げてしまいます。ゴミ箱は動線とキッチンの見た目に影響しないよう、できればカウンターの下に収納するのがおすすめです。

食器棚やコンセントの位置も、動線を考えて配置すると使いやすくなります。特に食器洗い乾燥機がある場合は、キッチンの近くに収納棚があった方が、洗い終わった食器をすぐにしまえるので便利です。コンセントの位置については、事前に使いたい家電をリストアップし、必要に応じて配置や増設を考えましょう。

POINT3:キッチンの通路幅

キッチンの通路幅は、一般的に90cm〜120cmが目安です。通路幅を考えるときは、普段何人で使うかを基準に考えるのがおすすめ。1人で使うなら通路幅は90cmあれば十分ですが、2人で使うならすれ違い幅を考え、100cm以上あると良いでしょう。

特に食器棚がキッチンの背面にあり2列並ぶ形では、通路幅に余裕がないと引き出しを大きく引き出せないケースもあります。特に食器洗い乾燥機で洗い終わった食器を背面の引き出しに片付けるときは、食器洗い乾燥機も収納も、お互い引き出している状態です。食器洗い乾燥機と引き出しがぶつかり合わないように位置をずらすか、やや広めに通路幅を取っておくと良いでしょう。

基本的な4つのキッチンスタイル・間取りを紹介!

フルフラットキッチンを中心に家族が集う、こだわりのシックなキッチン

キッチンのスタイルや間取りには、壁に向かって設置する壁付けか、リビングやダイニングに向かって設置する対面かなど、いくつかの種類に分かれています。

自分にあったキッチンレイアウトを考えるには、それぞれの特徴を知ることが大切です。ここではキッチンの中でも特に代表的な、4つのスタイルについて解説します。

対面キッチン

対面キッチンは、リビングやダイニングに対面する形で設置されたキッチンのこと。リビングにいる家族とコミュニケーションが取りやすく、背面の壁を全て収納として使えるため人気です。対面キッチンは小さいお子さんがいるなど、調理中も家族の様子を見守りたい子育て世帯の方に、よく選ばれています。

一方で、料理中に話しかけられたりテレビが見えたりと、他の情報が入ってきやすいので、集中しにくいという一面も。
料理だけでなく料理中の会話も楽しみたい方に、特におすすめのキッチンです。

壁付けキッチン

壁付けキッチンは、壁に向かって取り付けられたキッチンのこと。最近は対面キッチンやオープンキッチンを選ぶ方も増えていますが、これまでに最も多く採用されてきたのは、この壁付けキッチンのスタイルです。

日本の住環境に適した壁付けキッチンは、限られたスペースに設置でき、その分リビングやダイニングを広くとれるのが特徴。正面が壁のため換気扇も煙を吸い込みやすく、油汚れや調理中のにおいが、他の部屋に広がりにくいメリットもあります。

対面キッチンと比べると、料理中は家族とコミュニケーションがとりにくいため、集中して料理したい方におすすめのスタイルです。

オープンキッチン

オープンキッチンは、キッチンスペースとリビング・ダイニングとの間に、壁をつくらずに設置したキッチンのこと。

カウンターがフラットなので、ダイニング側からも料理に参加しやすく、配膳もしやすい特徴があります。家族でキッチンを囲んで作業できるので、4つの中でも最もコミュニケーションがとりやすいスタイルです。

オープンキッチンはサイズが大きいため、キッチンスペースを広くとる必要があります。しかし、家事動線が大幅に改善されるケースも多いので、家事動線に悩む方にはぜひ検討してほしいスタイルです。

オープンキッチンはデザイン性が高いため、インテリアの中心としても存在感があります。親族や友人を招待し、ホームパーティーをする機会の多い人にもおすすめのキッチンです。

クローズドキッチン

クローズドキッチンは、キッチンの正面・背面・左右いずれかの3方向が壁に囲まれたキッチンのこと。

キッチンだけで独立した空間なので油汚れやにおい、煙が他の部屋に広がりにくく、料理にも集中しやすいのが特徴。家電の置き場所や収納が多く確保できるので、専用の道具を使いこだわって料理をする方にもおすすめのスタイルです。

クローズドキッチンは3方向を壁に囲まれているため、圧迫感や閉塞感を感じやすくなります。気になる場合は、キッチンの色を明るめにする、正面に窓を取り付けるなどの工夫をすると良いでしょう。

主なキッチンレイアウト6選|特徴・メリット&デメリットも

グリーンが似合う、家族がつながるダイニングキッチン

ここからは、具体的なキッチンレイアウト6選を紹介します。それぞれの特徴やメリット・デメリット、さらに動線の考え方や収納や家電の配置のポイントについても解説しますので、ぜひレイアウト決めの参考にしてください。

壁付けI型キッチン

I型キッチンとは、上から見たときにアルファベットのI型に見えるキッチン。コンロ・作業台・シンクが一列に並んだI型キッチンを壁付けにした壁付けI型キッチンは、最もオーソドックスなレイアウトです。

メリット● スペースが限られていても設置できる
● コンパクトな間口なら家事動線を短くできる
● リビングやダイニングスペースを広くとりやすい
● 調理中の煙やにおいが他の部屋に広がりにくい
● 料理に集中できる
デメリット● 大きな間口だと家事動線が長くなる
● 家族とコミュニケーションが取りにくい
● リビングやダイニングからキッチンが丸見えになる

動線を考えるポイント

  • 間口が長すぎると動線も長くなる
  • 家事動線を短くしたいときは、作業スペースが狭くなりすぎないよう注意

収納や家電の置き方

  • 収納スペースが限られるため、吊戸棚や引き出しを活用して収納を確保
  • 家電はラックなどを使い、できるだけまとめて収納
  • ダイニングとの間にカウンターを設置し、II型キッチンのように使うのもおすすめ

II型キッチン

II型キッチンとは、シンクとコンロが2つの台に別れ、並列して設置されたキッチン。II型のほか、セパレート型や2列型とも呼ばれます。シンクとコンロが分かれているのでワークトライアングルの形を取りやすく、2人でも使いやすいのが特徴です。

メリット● 動線が短いので効率良く作業できる
● 2人以上でも使いやすい
● トータルの間口が広いので収納が多く確保できる
デメリット● 設置スペースを広くとることが必要
● 振り返る動作に注意が必要
● 通路に水滴が落ちやすい

動線を考えるポイント

  • ワークトライアングルが正三角形に近くなるよう、冷蔵庫の位置で工夫
  • 料理中に振り返る動作が多いため、広すぎず狭すぎず、適切な通路幅を意識

収納や家電の置き方

  • II型は収納が豊富なため、食器棚がなくても全てを収納できるケースが多い
  • 常に出しておく家電と収納する家電を使い分け、作業台を確保
  • 動線を考え、冷蔵庫は通路に近い場所に配置

L型キッチン

L型キッチンとは、上から見たときにアルファベットのLのように折れ曲がったキッチンのこと。作業効率が良く収納スペースも取りやすいですが、コーナー部分がデッドスペースになりやすいため、収納に工夫が必要です。

メリット● 動線が短いので効率良く作業できる
● 2人以上でも使いやすい
● 作業スペースが広くとれる
● 収納が多く確保できる
デメリット● 設置スペースを広くとることが必要
● コーナー部分に収納の工夫が必要

動線を考えるポイント

  • 壁付けでもセミオープン型でも使用できるので汎用性が高く、ライフスタイルに合わせてレイアウトを決めやすい
  • ワークトライアングルを短くしたいなら、キッチンの近くに冷蔵庫を配置する
  • コーナー部分を家電置き場として活用できるよう、壁面にコンセントを設置

収納や家電の置き方

  • デッドスペースになりがちなコーナー部分を有効活用するため、専用ワゴンを備えているキッチンメーカーもあるので適宜検討
  • ワゴンを導入せず、コーナー部分をストック品の貯蔵場所として使うのもおすすめ
  • コーナー部分のワークトップ上には、電子レンジや炊飯器を置いて有効活用するのも良い

U型キッチン

U型キッチンとは、上から見たときにアルファベットのUの字に見えるキッチンのこと。カタカナの「コ」にも見えるので、コの字キッチンと呼ばれる場合もあります。

キッチンの中でも特に動線が短く作業できるため、通路幅に余裕を持たせれば、車椅子の方にもおすすめのレイアウト。キッチン空間が広くとれるため、作業スペースも収納も十分に確保できますが、L型キッチン同様コーナー部分がデッドスペースになりやすいため、収納に工夫が必要です。

メリット● キッチンの中でもっとも動線が短いレイアウト
● 効率良く作業できる
● 車椅子の人にもおすすめ
● 作業スペースが広くとれる
● 収納が多く確保できる
デメリット● L型キッチンよりもさらに広い設置スペースが必要
● コーナー部分の収納に工夫が必要
● キャビネットが多く必要なので、本体費用や施工費が高くなりがち

動線を考えるポイント

  • すれ違いのしやすさも考えて通路幅を設定
  • コンロ・シンク・作業台の配置によって使い勝手が変わるため、よく検討する

収納や家電の置き方

  • L型キッチン同様、コーナー部分がデッドスペースになりやすいので、専用ワゴンなど収納の工夫を適宜検討
  • U型の1辺を家電が収納できるハイカウンターにし、家電置き場+食器の収納場所として活用するのもおすすめ

ペニンシュラ型キッチン

ペニンシュラとは、英語で「半島(Peninsula)」のこと。ペニンシュラキッチンとは、その名の通り壁から半島のように突き出た形のキッチン。ダイニングとの間に壁がなく開放感があるので、家族とコミュニケーションも取りやすく人気のレイアウトです。

メリット明るく開放感が得られやすい
家族とコミュニケーションが取りやすい
背面の壁を全て収納に使える
アイランドキッチンよりも子どもが火元に近づきにくい
デメリット● 料理中の煙や臭いが広がりやすい
● 料理に集中しにくい
● リビングダイニングから作業台が丸見えになる

動線を考えるポイント

  • キッチン単体ではなく洗面室や家事室と近付ければ、家事動線も飛躍的に向上
  • ダイニングテーブルをキッチンと対面にするか、横に並べるかで動線が大きく変わる

収納や家電の置き方

  • リビングダイニングから作業台が丸見えになるため、片付けしやすいよう工夫が必要
  • 背面の壁を全て収納として使えるが、配置には注意が必要
  • すぐに収納しやすいよう、キッチンのすぐ後ろに食器棚があると動線が良くなる
  • 背面のカウンター下に、ゴミ箱が置けるスペースをつくると便利

アイランド型キッチン

アイランドとは、英語で「島(Island)」のこと。アイランドキッチンとは、四方に壁がなく島のように独立したキッチン。存在感があるので、キッチンがインテリアの主役になりやすいレイアウトです。

メリット● 四方から使え回遊性も高いので、家事動線が良い
● スタイリッシュでおしゃれな空間に仕上がる
● 明るく開放的でコミュニケーションが取りやすい
● 複数の人数でも作業がしやすい
デメリット● 料理中の煙や臭いだけでなく油はねも広がりやすい
● 小さい子どもがいる家庭はコンロの扱いに注意が必要
● 設置スペースが広く必要
● リビングダイニングからキッチン全体が丸見えになる

動線を考えるポイント

  • キッチン背面に冷蔵庫を配置すれば、ワークトライアングルの設計が取りやすくなる
  • 背面の壁に、キッチンと同じデザインで食器棚や家電収納、パントリーを揃えれば作業効率もデザイン性も高まる

収納や家電の置き方

  • キッチンが目立ちやすいレイアウトのため、すぐに物をしまえる収納づくりが不可欠
  • 食器洗い乾燥機の導入やカウンター下にゴミ箱スペースをつくるなど、すっきりとみせる工夫が必要

キッチンレイアウトに失敗しないためのポイント

キッチンのレイアウトに失敗しないためには、自分が普段どのようにキッチンを使っているかを考え、不満を感じるポイントを洗いだすことが大切です。もし料理中に何度も往復していたり、冷蔵庫や食器棚の位置が四方に散らばっていて使いにくいなら、ワークトライアングルを考え直してみましょう。ただしワークトライアングルを意識しすぎると、かえって使いづらく感じるケースもありますので、使い慣れた動線とのバランスには注意が必要です。

他にもコンセントの数や位置、お米や水などストック品の収納場所、さらにはゴミ箱の収納場所もキッチンのレイアウトにおいては大切なポイント。収納の使い勝手が悪いと物があふれ、せっかくこだわったキッチンの見た目を損ねてしまいます。

家族の生活スタイルによって、理想的なキッチンのレイアウトは大きく変わります。家族にとって優先すべきポイントは何かをしっかりと話し合い、イメージを共有できるようにしておきましょう。

まとめ

キッチンを使いやすくレイアウトするには、まずワークトライアングルを意識して考えるのがおすすめ。その上でゴミ箱や食器棚、コンセントの位置を考え、通路幅を決めていくのが基本的な考え方です。

キッチンは対面キッチンや壁付けキッチンなど、どのスタイルを選ぶかで使い勝手は大きく変わりますし、L型やペニンシュラ型など、レイアウトのパターンもさまざまです。

使いやすいキッチンのレイアウトに迷ったら、ぜひわたしたちスペースアップへお問い合わせください。お客様の希望や悩みの解決を叶える、具体的なキッチンプランを提案いたします。

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記事の監修者

リフォームプランナー

鈴木淑子

二級建築士 / インテリアコーディネーター

お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。

お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。