リフォームコラム
屋根リフォームについて

屋根リフォームの費用相場|主な事例と費用を抑える3つのポイントも

屋根のリフォームを検討するにあたり、一番気になるのは費用ではないでしょうか。屋根リフォームには短期間でできる塗装工事や、大掛かりな工事になる重ね葺きや葺き替えがあります。予算との兼ね合いや屋根の状況にあわせて、最適なリフォームプランを見つけましょう。

そこで今回は、屋根リフォームの代表的な種類とそれぞれの費用相場、屋根材別の耐用年数などについて解説します。価格別のリフォーム事例や費用をなるべく抑えるポイントもご紹介するため、ぜひ参考にしてください。

屋根リフォームの代表的な3つの種類

屋根リフォームの代表的な種類は「塗装リフォーム」と「重ね葺きリフォーム」、そして「葺き替えリフォーム」の3つです。それぞれの施工方法について解説します。

塗装リフォーム

塗装リフォームは、現状の屋根に塗料を塗る施工方法で、主にスレートやガルバリウム鋼板などの屋根に採用されます。屋根自体の劣化があまりなく、塗装の剥がれが見られる場合に行われるのが一般的です。

屋根材を新しくする代わりに塗料を塗ることで、景観を良くしたり塗膜によって屋根材を保護したりできます。塗装リフォームに使う塗料は何でも良いわけではなく、現状の屋根材や状態に合う塗料を選ぶことが重要です。

注意点としては、安価な塗料は耐用年数が短い傾向にあること。塗り替え頻度が多くなると、その分長い目でみた費用がかさみます。コストパフォーマンスを重視するなら、やや値が張っても機能性や耐久性の高い塗料を選ぶのがポイントです。

重ね葺きリフォーム

重ね葺きリフォームは、既存の屋根を撤去せず、上から新しい屋根材を被せる施工方法です。カバー工法と呼ばれることもあり、「屋根自体に劣化は見られるけれど、下地までは劣化していない」状態に有効です。

基本的に、現状の屋根がスレートやガルバリウム鋼板などの平板であれば施工できます。ただし、瓦屋根の場合は重ね葺きに不向きのため、塗装もしくは葺き替えを検討しましょう。

重ね葺きのメリットは、葺き替えリフォームよりも工期を短縮でき、撤去費や処分費もかからないため費用を抑えられることです。ただし、屋根が二重になることで断熱性や防音性が高まる反面、重量が増して家全体に負荷がかかるのが注意点です。そのため重ね葺きを行う際は、ガルバリウム鋼板などの薄くて軽い金属屋根がよく選ばれます。

葺き替えリフォーム

葺き替えリフォームは、既存の屋根を撤去して、新しい屋根材を設置する施工方法です。屋根材の下に設置されている防水シートも新しくするため、屋根自体の寿命を延ばせるのはもちろん、建物自体の寿命も延びます。
他のリフォーム方法とは違って解体や処分の手間が発生するため、工事費用が高く、工期がやや長くなるのがデメリットです。

また、解体時は騒音やホコリが舞うことから、近隣に迷惑がかかるのも避けられません。リフォーム前には「近隣への挨拶の同席は可能か」「工期はどのくらいかかるか」など近隣の方へ影響が出る点について、リフォーム会社に聞いておきましょう。

葺き替えリフォームは屋根リフォームの中で最も費用がかかる手法ですが、長期的に見るとコストパフォーマンスに優れた施工方法です。現状よりも軽くて性能の高い屋根材を選ぶことで、耐震性も強化されてより安心して暮らせる家になります。

【種類別】屋根リフォームの費用相場と内訳

屋根リフォームにかかる費用は、施工方法によって大きく異なります。

屋根リフォームの種類費用相場
塗装リフォーム約20~80万円
重ね葺きリフォーム約50~150万円
葺き替えリフォーム約100~200万円

使用する塗料や屋根材によっても費用は変動するため、費用の内訳を見ながらリフォームプランを考えてみましょう。
ここからは、費用相場と内訳を種類別に解説します。

塗装リフォーム:約20~80万円

屋根塗装に使われる塗料にはいくつか種類があり、それぞれ単価や耐用年数が異なります。
まずは下記で種類別の塗料情報をチェックしましょう。

塗料の種類費用相場耐用年数
アクリル塗料1,400~1,600円/㎡5~7年
ウレタン塗料1,200~2,200円/㎡6~10年
シリコン塗料1,600~3,500円/㎡8~15年
ラジカル塗料1,800~4,500円/㎡12~15年
フッ素塗料1,800~4,800円/㎡8~20年
無機塗料4,500~5,500円/㎡約20年

続いて、屋根塗装にかかる費用の内訳を紹介します。

工事内容施工単価
塗装費2,300~3,000円/㎡
足場費700円~1,000円/㎡
養生費200~300円/㎡
高圧洗浄200円~250円/㎡
下地補修1,500~1,880円/㎡
タスペーサー360円~800円/㎡
諸経費・工事管理費など工事費の約3~10%

ただし塗装だけでは屋根や建物の寿命は延ばせないため、次のリフォームまでの「つなぎ」として考えると良いでしょう。

重ね葺きリフォーム:約50~150万円

重ね葺きリフォームの費用相場は、約50〜150万円です。内訳は下記をご覧ください。

工事内容施工単価
新しい屋根材の施工5,000~11,000円/㎡
足場費600円~1,500円/㎡
防水シート500~1,500円/㎡
棟板金・軒・ケラバなど3,000~11,000円/㎡
下地材(野地板・コンパネ)1,500~2,500円/㎡
諸経費・工事管理費工事費の5~10%

重ね葺きリフォームにかかる費用は、屋根の大きさや採用する屋根材によって大きく変動します。

屋根面数によっても費用は左右されるので、ご自宅がどのような屋根の形をしているかあらかじめ把握しておくと良いでしょう。面が少ない切妻屋根や片流れ屋根は、比較的安く済む傾向があります。

また下地まで雨漏りや劣化が生じている場合は、既存の屋根の上から野地板と防水シートを敷く必要があり、その分費用が発生します。

葺き替えリフォーム:約100~200万円

葺き替えリフォームは、屋根工事の中でも高額な施工方法です。とくにアスベストを含む屋根材を処分する場合は、通常の処分費よりも高くなります。
葺き替えリフォームの費用相場と内訳は、下記を参考にしてください。

工事内容施工単価
新しい屋根材5,000~15,000円/㎡
足場費600~1,000円/㎡
既存屋根の撤去費1,500~3,000円/㎡
防水シート500~1,500円/㎡
下地補修2,000~3,500円/㎡
処分費(アスベスト有の場合)20,000~85,000円/㎡
処分費(アスベスト無の場合)3,000円~4,000円/㎡
諸経費・工事管理費工事費の約5~10%

葺き替えリフォームにかかる費用を少しでも抑えたい場合は、屋根材をスレートやガルバリウム鋼板を選ぶのがおすすめです。

屋根材の主な種類3つ|耐用年数・費用相場も

日本で使われる屋根材は主に3種類で、それぞれ耐用年数や費用が異なります。ここでは種類別の特徴を解説するため、どの屋根材にするかの判断材料にしてください。

スレート瓦

スレート瓦とは、薄い板状の屋根材です。カラーベスト、コロニアルとも呼ばれており、多くの住宅で採用されています。屋根材の中でも比較的安く、カラーバリエーションが豊富なのが特徴です。
費用相場は4,000〜8,000円/㎡で、耐用年数は約10〜35年です。塗装によるメンテナンスは約7〜15年が目安で、適切に塗装で保護することで長持ちさせることができます。
2004年以前に建てられた住宅には、アスベストを含むスレート屋根が使われていることが多いため、撤去時は周りに配慮しつつ、高額な処分費がかかるのを心積もりしておきましょう。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンからなるガルバリウムという合金でめっき加工された金属の板のこと。金属でありながら、めっきによってサビにくくなっています。屋根材の中で最も軽量な素材のため、重ね葺きや葺き替えにもよく用いられます。
費用相場は6,000円〜12,000円/㎡で、耐用年数は約20〜40年です。表面の塗膜が劣化すると腐食しやすくなるので、定期的に再塗装をしましょう。まためっき層より深く傷が入るとそこからサビが広がるため点検も必要です。

和瓦(日本瓦)

和瓦とは、粘土を焼き上げた瓦屋根のことです。釉薬を表面にコーティングした瓦と、無釉薬の素焼き瓦、炭素の皮膜を形成したいぶし瓦の3種類があります。
費用相場は8,000〜10,000/㎡で、耐用年数は約30〜60年と他の屋根材に比べて長いのがメリットです。場合によっては100年以上持つこともあり、塗装によるメンテナンスも不要のため、手間がかからない屋根材といえます。デメリットとしては葺き替えリフォームにかかる費用が高いこと。また他の屋根材に比べて重いため、耐震性が低くなることです。

【価格帯別】屋根リフォームの事例

どのくらいの価格で具体的にどの程度の屋根リフォームができるのか、またイメージがつかめていない方もいるかもしれません。ここでは価格帯別でできる屋根リフォーム例を紹介します。

~50万円の屋根リフォーム

部分的な修理や塗装であれば、50万円以内で屋根リフォームをすることは可能です。
ここでは、2つの事例を紹介します。

事例1.ウレタン塗料による塗装

工事内容ウレタン塗料による塗装
費用目安約40万円 ※施工面積・建材などの条件により異なります。
内訳塗料+塗装、足場仮設、養生、高圧洗浄、下地補修

費用や耐久性のバランスから、塗装リフォームではシリコン塗料やウレタン塗料がよく使われています。屋根の形状や塗る回数によって上記の総額よりも高くなる場合がありますが、費用を抑えやすいリフォーム方法です。

事例2.シリコン塗料による塗装と棟・破風の補修

工事内容シリコン塗料による塗装と棟・破風の補修
費用目安約50万円 ※施工面積・建材などの条件により異なります。
内訳塗料+塗装、足場仮設、養生、高圧洗浄、下地補修、棟・軒・破風板補修

屋根塗装に加えて、棟・軒・破風板補修も同時に行います。これを2回に分けると足場仮設と養生が2回分かかりますが、まとめたことで1回分になってお得に。傷んでいた板金も補修することで、屋根全体の見た目が美しくなります。

~100万円の屋根のリフォーム

50〜100万円でできる屋根リフォームは、塗装に限らず重ね葺きにまで手を伸ばすことができます。ここでは、2つの事例を紹介します。

事例1.フッ素塗料で塗装リフォーム

工事内容フッ素塗料で塗装リフォーム
費用目安約80万円 ※施工面積・建材などの条件により異なります。
内訳塗料+塗装、高圧洗浄、下地補修、さび止め、タスペーサー、足場仮設、養生、諸経費

塗料の中でも高価なフッ素塗料を使用しても、100万円以内でリフォームできる場合があります。見た目がガラッと変わるだけではなく機能性も高まるので、費用対効果が高いリフォームです。

事例2.金属屋根への重ね葺き

工事内容金属屋根への改修
費用目安約80万円 ※施工面積・建材などの条件により異なります。

雨漏り対策のために重ね葺きを採用した事例です。和モダンなテイストの金属屋根を設置すれば、今風な家に変わります。

~150万円屋根リフォーム

100〜150万円の予算があれば、大きめの屋根であっても重ね葺きリフォームが可能です。

事例1.ガルバリウム鋼板を使用しての重ね葺き

工事内容ガルバリウム鋼板を使用しての重ね葺き
費用目安約140万円 ※施工面積・建材などの条件により異なります。
内訳重ね葺き施工、足場仮設、養生、軒・水切り・ケラバ・雪止めの設置

下地がそれほど傷んでいなかったため、重ね葺きリフォームを実施。軽量なガルバリウム鋼板を採用したことで、屋根や建物に負担を与えることなく施工できます。

~200万円の屋根リフォーム

150〜200万円の予算があれば、瓦屋根の葺き替えができます。

事例1.瓦屋根を葺き替え

工事内容瓦屋根を葺き替え
費用目安約200万円 ※施工面積・建材などの条件により異なります。
内訳葺き替え施工、足場仮設、養生、屋根材撤去、下地補強、軒・水切り・ケラバ・雪止めの設置

瓦屋根は重ね葺きができないため、葺き替えで屋根全体を一新しました。瓦から瓦に葺き替えることもできますが、スレートや金属屋根など好きな屋根材を設置することも可能です。
瓦自体が比較的きれいな状態の場合は、お客様と施工会社との話し合いのうえでそのまま活用することもあります。再利用すれば、瓦の材料費分だけ安くなります。

屋根リフォームの費用をなるべく抑えるためのポイント

屋根リフォームは数万円〜数百万円と幅広く、決して安くはありません。少しでも費用を抑えられるように、ここで紹介する3つのポイントをうまく活用してみてください。

補助金・助成金を利用できるか調べる

国や自治体では、リフォームに活用できるさまざまな補助金・助成金があります。ただし「屋根の色を変えたいから」など私的な理由で活用するのは難しく、省エネ対策や耐震対策を目的とした場合に利用できることがほとんどです。

たとえば「瓦屋根からガルバリウム鋼板へ」といったように、現状よりも軽い屋根材に葺き替えると耐震性能の向上につながります。断熱(遮熱)塗料で屋根塗装を行えば、省エネ性能を高めることが可能です。

なかには、屋根に含まれるアスベストと呼ばれる素材を除去することで受け取れる補助金もあるため、まずは調べてみましょう。

火災保険が適用されるか調べる

台風や雪など自然災害によって屋根が被害を受けた場合は、火災保険が適用されるケースがあります。
具体的な適用条件は次の通りです。

  • 自然災害による被害
  • 自然災害による被害から3年以内の申請

加入している火災保険の種類によって補償内容は異なりますが、原因が「風災・ひょう災・雪災」の場合は、基本的にどのプランでも火災保険の補償内です。

また火災保険が適用されるのは「原状回復」を目的としているリフォームが対象のため、重ね葺きを行う場合は適用されない可能性があります。葺き替えの場合は火災保険が適用されやすいため、思い切ってリフォームするのもよいでしょう。

相見積もりをとる

屋根リフォームの費用を抑えるために、相見積もりをとるのも有効です。同じリフォーム内容でも業者によって料金設定が異なります。

複数の業者が作成する見積書を比較すれば、数万円〜数十万円ほど費用を抑えられるかもしれません。最近では相見積もりをとるのが一般化してきたため、気負いせずに活用してもよいでしょう。

なお、相見積もりは2〜5社程度とるのがおすすめです。5社以上だと情報過多で混乱する可能性があり、業者を決めきれない結果になり得ます。相見積もりをとるときは、負担のない程度で進めていきましょう。

まとめ

屋根リフォームにかかる費用は、施工方法や使用する屋根材によって大きく変動します。補助金制度を活用したり相見積もりをとったりすると費用を抑えられるかもしれないので、ぜひ試してみてください。

「我が家の屋根に最適なリフォームは何?」「どのくらいの費用でできる?」と気になる方は、ぜひスペースアップにご相談ください。
リフォーム経験の豊富さから、お客様の要望やお家の状態を考慮したうえでプランをご提案させていただきます。

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記事の監修者

設計士

西村佳晃

一級建築士 / 一般耐震技術認定者 / 宅地建物取引士

建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。

建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。