夏場、家の屋根はジリジリと太陽光が照りつけ、室温も上昇していきます。特に2階のお部屋が蒸し暑くてなかなか冷房が効かなかったり、夜も室温が下がらず寝苦しかったりといった経験をされたことがある方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのが遮熱塗料です。今回は遮熱塗料の仕組みや断熱塗料との違い、おすすめ商品などを解説していきます。
遮熱塗料とは?断熱塗料との違い
遮熱塗料を一言でいうと、太陽光を反射させて、室内の温度上昇を防ぐ塗料です。
同じく室温上昇を防ぐ塗料として「断熱塗料」もありますが、両者は仕組みが違います。
断熱塗料は断熱材に似た発想で、太陽からの熱を塗膜にため込んで室内に伝えにくくするという仕組みです。そのため夏の暑さを防ぐだけでなく、冬の保温効果も期待できます。
費用としては断熱塗料の方が高額で、遮熱塗料のほうが手頃な価格で工事できることが多いです。
遮熱塗料 | 断熱塗料 | |
仕組み | 光を反射する | 熱を塗膜にため込む |
夏の効果 | 室温上昇を防ぐ | 室温上昇を防ぐ |
冬の効果 | なし | 熱が外へ逃げるのを防ぐ |
費用の目安 | 2~5千円/㎡ | 3~6千円/㎡ |
遮熱塗料のメリット
遮熱塗料は暑さを軽減できるだけでなく、実はそれ以外にもさまざまなメリットがあります。
メリット①夏の暑さが抑えられる
遮熱塗料を屋根に塗ると、屋根材の表面温度は10℃前後下がり、室温も平均2~3℃下がると言われています。ただしどのくらい温度が下がるかは、住宅のつくりや日照条件などで変わってくるので一概にはいえません。
すでに屋根裏の断熱がしっかりしている家では、思ったほど効果を実感できないこともあります。しかし断熱が不十分な家に住んでいて、毎年夏には屋根裏や2階の暑さに悩んでいるという方の場合は、遮熱塗料の効果を体感としてはっきりと実感していただけるケースが多いです。
また金属屋根やスレート屋根など熱を持ちやすい屋根材だったり、日照時間が長い地域だったりすると、遮熱塗料の効果を実感しやすくなります。
メリット②電気代が節約できる
遮熱塗料が室温上昇を抑えることで、冷房が効きやすくなり、電気代の節約にもなります。
他の暑さを改善するリフォームだと、断熱材を入れたり窓を交換したりと特別な工事が必要。しかし遮熱塗料は、定期的な塗装のときに塗料の種類を変えるだけでいいので、非常にお手軽なのもうれしいところです。
メリット③塗料の耐用年数が長め
一般的な塗料の寿命は10年くらいですが、遮熱塗料だと10~20年ちかく持つものがほとんどです。塗り替えスパンが長くなれば、そのぶん手間もコストも抑えられます。
メリット④屋根材を熱から守る
屋根材は紫外線を浴びることで、劣化がどんどん進みます。遮熱塗料を塗ると太陽光を反射するため、建物自体のダメージも抑えられるというのも、実は大きなメリットです。
遮熱塗料のデメリット
メリットの多い遮熱塗料ですが、デメリットもあるので双方を知ったうえで検討されると良いでしょう。
デメリット①費用が高い
遮熱塗料のデメリットは、一般塗料に比べると初期費用が高くなることです。
費用の目安としては、一般的なシリコン塗料が2~3千円/㎡で、遮熱塗料が2~5千円ほどと、少し上乗せされるイメージとなります。
ただし初期費用が高くなるとはいっても、耐用年数の長さを考えると、トータルの費用はシリコン塗料とほとんど変わらないケースも多いです。
デメリット②冬の保温効果がない
熱をため込む断熱塗料では冬の保温効果も期待できますが、遮熱塗料は夏場の効果のみに限定されます。ここで気になるのが「冬も光を反射するから、家が寒くなってしまうのではないか?」という点ですよね。
しかし実際には夏の室温低下に比べると、冬の室温低下はごくわずか。冬は太陽の位置が低く、横方から光が差し込んでくるイメージです。屋根に遮熱塗料が塗られていても、温度低下は最小限に抑えられるので心配ありません。
屋根・外壁におすすめの塗料を紹介!
最後に、外装リフォームでおすすめの塗料をご紹介したいと思います。
おすすめ①快適サーモBio
遮熱塗料でおすすめなのが、水谷ペイントの「快適サーモBio」という商品です。
一般的な塗料では石油系資源を使うところ、大学の研究室との連携によって、地球にやさしいバイオマス原料を樹脂に組み込むことに成功しました。
従来の遮熱塗料は白一色でしたが、快適サーモシリーズでは黒やブラウン、ブルー、オレンジなどさまざまな色を選べます。
遮熱性能とともに耐候性にも優れているのが人気の理由で、雨や紫外線、熱による劣化を防ぎ、屋根の美しさを長くキープします。
おすすめ②スーパームキコート
とにかくきれいな状態をコスパよく長持ちさせたいという方におすすめしたいのは、スーパームキコートという塗料です。
通常のシリコン系塗料ではシリコンを5%前後含んでいますが、スーパームキコートはなんと含有率50%。これによってグレードの高いフッ素系塗料以上に長持ちさせることができます。
塗装スパンを大幅に延ばすことで、メンテナンスコストは長い目でみると百万円単位で安くできることも。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
塗料選びは「これが全員にとって一番良い」というものではなく、何を重視するかによって最適かどうかが変わってきます。とにかく長持ちさせてメンテナンスのコストや手間を抑えたいのか、夏場少しでも省エネで涼しくすごせるようにしたいのか、色やツヤの好みは……などご家族の希望によって最適な塗料選びをしていきましょう。
スペースアップではさまざまな塗料を取りそろえており、希望に合わせたものをご提案させていただきます。外装リフォームについても、ぜひお気軽にご相談ください。
記事の監修者
設計士
西村佳晃
一級建築士 / 一般耐震技術認定者 / 宅地建物取引士
建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。
建物の構造に関する判断を行い、 地震に強く、安心して住める『強い家』を設計。プランナーの提案する図面を建築基準法に基づいた設計基準に照らし合わせ、 必要な補強を行い、採光などバランスの一番良い設計図面として仕上げます。