ペットのことを思いやり、最近ではペットリフォームをする方が増えています。ペットの安全性や快適性が高まるのはもちろん、住まいや飼い主にとっても良い影響を及ぼします。
しかし、具体的なペットリフォームの内容がわからないという方も多いことでしょう。
今回はペットリフォームについて解説するとともに、費用の目安やリフォーム時の注意点をご紹介します。
ペットリフォームとは?かかる費用の目安について
ペットリフォームとは、ペットが安全で快適に暮らせるように内装や設備をペット仕様にすること。ペットのみならず、飼い主や住まいにとっても良い影響を与えるリフォームです。
ペットリフォームにかかる費用は、工事内容によって大きく異なります。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
床材の変更(消臭効果あり) | 6帖:9~14万円 |
床材の変更(防音フローリング) | 25〜80万円 |
壁紙の変更 | 6帖(天井・壁):5万円〜 |
ペットドア | 5〜10万円 |
網戸をステンレス製のネットに変更 | 1枚:1〜2万円 |
ガスコンロをIHに変更 | 20〜30万円 |
内窓 | 1箇所:8〜15万円 |
床暖房の設置 | 30万円〜 |
熱源機の設置 | 25~100万円 |
防音室 | 200〜800万円 |
部屋の大きさはもちろん、水道工事や電気工事の有無も費用感に関係します。まずは、どのようなリフォームをしたいのかピックアップし、予算に応じてできるところから始めていきましょう。
ペットリフォームのメリット3つ
ペットリフォームは、ペットにとっても飼い主にとっても嬉しいメリットがあります。
ペットが快適にかつ安全に家の中で過ごせる
ペットリフォームをする1番のメリットは、ペットが快適で安全に暮らせるようになること。ペットも骨折や脱臼をすることがあるので、ケガのリスクを抑える対策が必要です。たとえばツルツルしたフローリングでペットが歩きづらそうにしている場合、ペット用のフローリングやクッションフロアのような滑りにくい床材に変更するとケガ防止につながります。
人間よりも音に敏感なペットは、室外の音にストレスを感じていることも。防音対策をすれば、音による恐怖心や警戒心を緩和してあげられるでしょう。断熱性を高めたり空調を整えたりすると、ペットの体調管理にも役立ちます。
ペットのいたずら・臭い対策につながる
ペットと一緒に暮らすうえで気になるのが、いたずら・臭いです。ペット向けの内装材にしていないと、ネコちゃんが壁を引っ掻いたり、ワンちゃんが走りまわったりしたときの傷が目立つことも。
また、一緒に暮らしていると臭いに気づかないこともありますが、知らないうちに壁や床に臭いが染みついていて来客時に気になることがあるかもしれません。傷がつきにくい床材や消臭効果のある壁紙に貼り替えることで、いたずら・臭いに悩まされず、住まいの快適性を保つことができます。
ペットのお世話・お手入れがしやすくなる
フードやトイレなど汚れやすいモノをまとめておくと、お世話がしやすくなり、お掃除も楽になります。お散歩から帰ってきてすぐに足を洗えるように、土間にペット用のシャワースペースをつくるのもアイデア。部屋に入る前にきれいになるので、室内が砂や泥で汚れる心配もありません。
また来客など普段と違う環境は、ペットのストレスにつながります。ペット専用の部屋をつくれば、来客中も慣れた空間で落ち着いて過ごせるでしょう。
【項目別】おすすめのペットリフォームアイデア
ここからは、ペットリフォームのアイデアをご紹介します。項目別に詳しく解説するので、プランづくりの参考にしてください。
「内装仕上げ」に関するペットリフォーム
ペットの引っ掻き傷や臭いで劣化しやすい内装。普通の内装仕上げだと、ペットにとっても飼い主にとっても物足りなさがあるのではないでしょうか。ペット向けの内装仕上げとはどのようなものか、アイデアを見てみましょう。
珪藻土・エコカラットにする
内装は脱臭・消臭効果のある珪藻土やエコカラットにするのがおすすめです。ペットの体臭や排泄物の臭いなども軽減してくれるので、飼い主にとっても快適な室内環境になります。
臭いが気にならない家になれば、自信を持って友人や親戚を呼べるでしょう。珪藻土やエコカラットはデザインのバリエーションが豊富なので、おしゃれな内装になるのも嬉しいポイントです。
ペット用壁紙・腰壁にする
ネコちゃんの爪研ぎは力強く、一般的なビニールクロスはあっという間にボロボロになってしまいます。爪研ぎは止められるものではないので、傷や汚れがつきにくい壁紙や腰壁で対策しましょう。
ワンちゃんが片足を上げてマーキングしてしまう場合にも、腰壁は有効です。抗菌加工や消臭効果のある腰壁なら、サッと拭くだけでお手入れが完了します。
空気清浄機・ナノイー発生器を設置する
空気清浄機やナノイー発生器は、脱臭に有効です。ペットのトイレや寝床がある部屋に設置すると、きれいな空気に包まれるでしょう。ダニやカビ菌も抑制するので、健康的な室内環境が整います。
床に置くタイプの製品もありますが、見た目をすっきりさせたいなら埋め込み型のナノイー発生器がおすすめです。いたずらで倒される心配もなく、安全な設置方法ともいえます。
ペット対応フローリング・クッションフロアにする
一般的なフローリングは滑りやすく、アンモニアにも弱い性質があります。ペット対応フローリング・クッションフロアは、滑りにくく足腰にも優しい素材です。適度なクッション性があるので、ペットも思いっきり走りまわることができるでしょう。
アンモニアにも強く、中には脱臭機能が付いているものもあるので、粗相をしてしまうペットでも安心です。
「建具」に関するペットリフォーム
ここでは、ドアや窓など、建具のペットリフォームについて解説します。
ドアに「ペット用ドア(くぐり戸)」を設置する
ペットが部屋を行き来するたびに「開けて」と引っ掻いたり吠えたりされると、ストレスに感じることもあるでしょう。扉を開けっぱなしにすればペットは自由に動きまわれますが、冷暖房の効きが悪くなってしまいます。
そんなときは、ペット用ドアを設けてみましょう。ペット用ドアとは、ペットだけが通れる小窓のようなもの。飼い主が開けなくても自由に部屋を行き来できるので、お互いにとって楽になる解決方法です。室内ドアについているものもあれば、壁をくり抜いて取り付けるタイプもあります。
網戸にステンレス製ネットを採用する
ネコちゃんは網戸にいたずらするのが大好き。換気のために窓を開けて網戸にしていると、引っ掻いてボロボロにされたという方も多いのではないでしょうか。網戸が破れるたびに修理していたら費用も手間もかかって大変ですよね。
いたずら対策に効果的なのは、ステンレスの網戸に変えること。頑丈なので、よじ登りやひっかき、突進で壊れる心配が減り、脱走対策にもつながります。普通の網戸よりも割高ではあるものの、長期的に考えるとお得なリフォームです。
「水まわり」に関するペットリフォーム
ここでは、キッチンや洗面台のペットリフォームをご紹介します。内装材や建具をペット仕様にするのは定番ですが、水まわりもペットのためにできるリフォームがあります。何ができるのか、チェックしてみてください。
ペットが入れるワイドサイズの洗面台にする
ペットの入浴用に、シンクが広い洗面台があると便利です。シャワー機能がついていると、散歩帰りの足洗いから全身洗いまで柔軟に使えます。毛が溜まりやすいので、排水溝の掃除のしやすさもチェックしましょう。
浴室の場合は洗う側も足や服が濡れがちですが、洗面台なら濡れるのはペットだけ。浴室で洗うよりも足腰に負担がかからないのもメリットです。ペットの入浴として使わないときは、洗濯物のつけおきにも活用できます。
キッチンコンロをIHにする
火傷や火事の危険性がある火元も対策が必要です。ペットをキッチン付近に近づけないのが最善策ですが、難しいときもありますよね。キッチンに人が立っていないときにペットがガスコンロに火をつけてしまえば、ケガをしかねません。
ガスコンロの中には誤作動しない機能がついている商品もありますが、万が一に備えて火の出ないIHにすると良いでしょう。チャイルドロックがあるタイプを選ぶと、より安心感が高まります。
「遊び場」に関するペットリフォーム
おうち時間が長いペットには、ストレスを発散できる遊び場があると喜びます。ペットが楽しめるリフォームアイデアをご紹介します。
キャットウォーク・ドッグランをつくる
ペットがのびのび遊べるように、専用の遊び場所をつくりましょう。ネコちゃんは高いところが好きなので、天井付近の壁面に棚を設けたキャットタワーがおすすめ。収納棚兼キャットタワーなら、実用的にも使えますよ。
ワンちゃんは走りまわるのが好きなので、庭にドッグランをつくるのもいいですね。滑り台やバランスストーンなどを置けば、子どももワンちゃんも一緒に楽しめる庭になるでしょう。
ウッドデッキやサンルームを増設する
ペットリフォームでは、太陽の光をたっぷり浴びながら日向ぼっこやお昼寝ができるウッドデッキやサンルームをつくるのも人気です。広いウッドデッキなら走りまわれたり、階段があれば登り降りしたりと適度な運動にもなります。足の裏の汚れが最小限になるのもウッドデッキの魅力です。
サンルームはガラス張りの室内なので、雨の日も利用できます。足裏が汚れる心配がないので、飼い主にとっても嬉しい設備です。
その他のペットリフォーム
ここでは、床暖房の設置やケージの置き場所について解説します。
床暖房または全館空調を取り入れる
空気には、温度の高いものは上へ、低いものは下へ行く性質があります。特に冬は、人間にとって適温と感じていても、床で過ごすことの多いペットは寒さを感じているかもしれません。冬場でもペットが快適に過ごせるように、床暖房や全館空調を取り入れましょう。
部屋を均一に暖めることができれば、部屋のどこにいてもペットはくつろげます。床暖房はヒーターのように風が出ないので、ペットの毛が舞うことがなく、掃除も楽なのも利点です。
全館空調は家全体の温度を一定に保つので、どの部屋でも快適に過ごせます。そのため、部屋の行き来を規制する必要がありません。ペットの行動範囲を狭めずに冬を過ごしたい場合は、全館空調もおすすめです。
ケージ置き場は空きスペースを有効活用する
ケージは部屋の片隅に置くことが多いですが、動線の邪魔になる恐れがあります。そこで、空きスペースを活用してみてはいかがでしょうか。
収納棚の下やキッチンカウンターの下はデッドスペースになりがちなので、ケージを置くのにぴったりです。ペットも、家族の気配を感じながらくつろぐことができます。また階段下も使用頻度が比較的少なく、少し暗いのでペットにとって落ち着くスペースです。
ペットリフォームを行うときの注意点
工事内容によっては激しい音が出る場合がありますが、騒音はペットにとって大きなストレスとなります。また、業者の出入りもあり、その際に脱走してしまう可能性もあります。
少しでも普段通りに過ごせるように、あらかじめトイレや寝床を静かな場所に移動させておきましょう。できればペット部屋を設けて、その空間だけで過ごしてもらうのがおすすめ。散歩に連れ出したり、ペットホテルに預けたりするのも方法のひとつです。
また、ペットリフォームを成功させるためにも、ペットリフォームの実績がある会社に依頼することが大切です。リフォームはペットの健康面に大きな影響を及ぼすので、ペットへの思いやりや正しい知識を持っているかどうかが重要なポイントになります。
実績の有無は、ホームページに掲載されている施工事例で確認できます。実績のある会社なら具体的なイメージがなくても、ペットと家族のことを考えて最適なプランを提案してくれるので心強いですよ。
まとめ
ペットリフォームでは「ペットの足腰に優しい床材か」「臭いがつきにくいか」など、ペットも人間も快適に過ごせる素材や設備を選ぶことが大切です。また、リフォーム中のペットへの気配りも必要です。工事中は騒音や業者の出入りが激しく、ペットにとってストレスになります。別室に移動させる、ペットホテルに預けるなど、対策を考えておきましょう。
ペットのためにリフォームを考えている方は、ペットリフォームの実績があるスペースアップ にお問い合わせください。ペットの習慣や家族の悩みをヒアリングして、最適なリフォームをご提案させていただきます。
記事の監修者
リフォームプランナー
鈴木淑子
二級建築士 / インテリアコーディネーター
お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。
お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。