キッチンの雰囲気を大きく変えるのが壁材。従来はタイルを貼ることも多かったですが、最近よく見るのがキッチンパネルです。今回はキッチンパネルの特徴やタイルとの違い、おしゃれなキッチンパネルの選び方などを解説します。
キッチンパネルとは?
キッチンパネルとは、耐火性の高いメラミン・金属・ホーローなどでできたパネルのこと。主にコンロやシンクの周辺の壁に貼られます。
表面の凹凸が少ない素材でできており、目地も少ないのが特徴。調理中に水や油がとんでも、簡単にふき取れます。
また、無地白色から大理石調、木目調、タイル調……といったようにデザインやカラーも豊富。シンプルなものを壁一面に貼ったり、柄物をアクセントとして貼ったりとさまざまな使い方ができます。
キッチンパネルとタイルの違い
キッチンパネルとタイルの主な違いは、次の4つです。
1.施工のスピードの違い
小さなタイルを一枚ずつ現場で貼っていくと、かなりの手間と時間を要します。一方でキッチンパネルは大判のものを現場でカットして使用するため、短時間で施工でき人件費も割安です。
2.お手入れ方法の違い
タイルにはたくさんの目地があるので、油汚れの多いキッチンでキレイに保つのは大変。キッチンパネルは大きなサイズの板なので、継ぎ目が少なくお手入れが簡単です。
3.費用の違い
タイルは素材自体の価格が高め。また施工にも手間がかかるため、キッチンパネルよりも高額になる場合が多いです。
4.デザインの違い
色とりどりのモザイクタイルや、高級感のある大理石調タイルなど、タイルには独特の風合いや魅力があります。一方キッチンパネルはシンプルなデザインや、金属でスタイリッシュな雰囲気を出したい方におすすめです。
キッチンパネルのメリット・デメリット
キッチンパネルとタイルではいくつも違いがあるため、どちらを選ぶべきか迷ってしまいますよね。こちらでは、キッチンパネルのメリット・デメリットご紹介します。
キッチンパネルのメリット
キッチンパネルは従来のタイル貼りに比べると、リフォーム費用が安く抑えられます。タイルのように割れたり欠けたりすることも少ないため、メンテナンスの費用や手間もかかりにくいでしょう。
そして、お手入れがしやすいところも、毎日使うキッチンでは重要なポイント。目地が汚れると、ブラシでごしごしと擦るなどお掃除も大変。その点、大判なパネルなら目地が最小限ですむため掃除が簡単です。表面も水や油をはじくツルツルした素材が多いため、台拭きでサッと拭き取るだけできれいになりますよ。
キッチンパネルのデメリット
キッチンパネルはタイルに比べると表面の凹凸感が少なく、デザインが比較的すっきりしたものが多いです。
好みの問題になりますが、タイルの見た目が好きという方もいらっしゃるでしょう。タイルはカラーや模様、形、質感などが多彩。お好きなデザインのタイルを組み合わせて、あなただけのこだわりのキッチンを作ることができます。
しかし最近では、キッチンパネルにもさまざまなカラーやデザインが揃っています。実際にサンプルを確認したり、ショールームで実物を確認してから決めるといいでしょう。
代表的なキッチンパネルの種類
代表的なキッチンパネルの素材は「メラミン・金属・ホーロー」の3種類です。素材によって見た目や価格も違ってきますので、それぞれの特徴をご紹介します。
メラミン
メラミンとは、不燃材にメラミン樹脂加工しているもののことをさします。耐火性や耐水性が高いのはもちろんのこと、他の素材に比べて安価なのが大きなメリット。キッチンパネルとして最もよく使われています。
また表面の加工がしやすいため、無地や石目、タイル調などさまざまなデザインがあるのも魅力。カラーバリエーションも豊富なので、きっとあなたの好みのデザインがみつかるでしょう。
金属
プロの厨房のようなスタイリッシュでかっこいいキッチンにしたい方は、金属のキッチンパネルもおすすめ。ステンレスやアルミなどがよく使われています。耐久性や清掃性は高いのですが、金属たわしなどで擦ると傷がつきやすいため注意が必要です。
ステンレスとアルミを比較すると、アルミの方が安価で柔らかめ。ステンレスは耐久性が高く、傷や凹みのつきにくさが魅力です。
ホーロー
ホーローとは、アルミや鉄などの金属の表面にガラス質を焼き付けたもの。鍋や食器にもよく使われる素材で、耐熱性や耐久性に優れています。
つやがあり高級感があるデザインです。下地に金属が入っているので、キッチンパネルにマグネットをつけることもできます。マグネットフックや収納を壁に貼り付けてアレンジができるので、壁面のデッドスペースをうまく活用できるのも良いところ。しかし、他のキッチンパネルに比べると費用が高くなることも多いです。
おしゃれなキッチンパネルの選び方は?
せっかくリフォームするならおしゃれなキッチンにしたいですよね。おしゃれなキッチンにするには、全体のバランスを見たりお手入れしやすい素材を使ったりと、キッチンパネル選びにもいくつかポイントがあります。
色や素材、デザインを選ぶ
キッチンパネルは大きな面積を占めるので、キッチンはもちろんリビングダイニングのインテリアにも影響します。LDKの雰囲気に合わせて、色や素材、デザインを選びましょう。
(例)
- 大人っぽい、かっこいい→ダーク系のカラー、金属系の素材
- 温かみがある、ナチュラル→ナチュラルカラー、艶消し、木目調
- すっきりとした清潔感、シンプル→つや感のあるホワイト系、ホーロー素材
インテリアとの相性を考える
キッチンパネルを選ぶときには、キッチン本体の面材・壁紙・床材・建具などとのバランスも重要です。例えばキッチン本体や床材が暗い色で、ダーク系のキッチンパネルを広い範囲に貼ると、全体が暗く感じてしまうかもしれません。少し明るめの色や、光を反射する金属のパネルを選ぶ、照明をプラスするなどで、暗さが改善できるでしょう。
キッチンは物が多く、ごちゃごちゃした印象になってしまうことも多いもの。配色のバランスも重要で、あまりに色数が多いと余計に雑多な印象を与えてしまいます。LDK全体で使う色数を絞ることで、まとまりのあるインテリアになりますよ。
お手入れ方法もチェックする
せっかくインテリアにこだわったキッチンも、油汚れや水跳ねがひどいとおしゃれには見えません。壁材を選ぶときにも、お手入れ方法も理解しておきましょう。
シンクやコンロのまわりは最も汚れやすい部分。タイルではなくキッチンパネルを貼ることで、清掃性がぐんとアップします。可愛らしいタイルを使いたい場合は、キッチンの背面の壁など汚れにくい部分にアクセント的に使うのもよいでしょう。
また人によって「どのくらい掃除に手間をかけられるか?」はさまざま。毎日こまめにお手入れしながら大切に使うことで愛着がわく方もいれば、日々忙しいのでなるべく手間は増やしたくない方も。ご自身やご家族の生活スタイルにあったものを選定しましょう。
ショールームで実物を確認する
各メーカーのカタログを見ると、たくさんのキッチンパネルの実例が掲載されています。カタログのみで決める方も多いですが、実際にショールームで実物を確認するとよりイメージしやすいでしょう。
特にキッチンパネルは面積が大きいため、カタログの小さな写真と実物とでは印象が変わることもあります。凹凸や艶感も、実物でなければなかなか伝わりにくい部分です。
またショールームでは、たくさんのキッチンリフォームに携わっているプロによるアドバイスも聞くことができます。時間に余裕があるのであれば、ぜひ足を運んでみてくださいね。
キッチンパネルを選ぶ際の注意点
これまで、キッチンパネルの種類や選び方などを説明してきましたが、もう一つキッチンパネルを選ぶ際の注意点があります。好きなものを好きなように選べるのが一番ですが、キッチン周りでは「内装制限」という法的制限がありますので、こちらも解説していきます。
内装制限に気を付ける
キッチンパネルは、シンクやコンロの周りに貼るのが一般的です。少し広めの範囲に貼ると、さらに汚れを気にしないでキッチンを使えます。
キッチンパネルの範囲を決めるときに、注意したいのが内装制限。キッチンでは火を扱うため、壁や天井に燃えにくい素材(準不燃材・不燃材)を使わなければならないというルールがあります。
建築基準法で内装制限を受ける範囲や、使える仕上げ材が決まっているため、ルールにしたがってリフォームしましょう。自治体によっては独自の条例を設けている場合もあるため、リフォーム業者などプロに相談するのがおすすめです。
キッチンパネルのDIYは難しい
自分で材料を購入して施工してみようという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、キッチンパネルについては初心者でDIYするのは難しいので、できたら避けたほうがよいでしょう。
市販のキッチンパネルが壁のサイズにぴったりおさまることは少ないため、サイズを揃えて金属やホーローでできたパネルをカットする必要があります。丸ノコやカッターなど材質に合わせた道具をそろえなければならず、初心者にはハードルが高いでしょう。慣れていないと真っ直ぐカットできなかったり、割れたりする可能性もあります。
また壁に直接貼り付けるため、下地の状態によってはパネルが浮いてきてしまうことも。下地を整える作業が必要になりますが、壁を剥がしてみるまで下地の状態はわかりません。施工場所に水栓やガス線が通っている場合、それらを一旦取り外したり、パネルに穴を開けたりといった手間もかかります。
クロスを貼るのはDIYでやる方も増えていますが、厚みのあるパネルを貼るのは意外と労力がかかるもの。不安な方はリフォーム業者に見積もりをとってからどうするか検討してもよいでしょう。
キッチンパネルはメーカー選びも重要
キッチンパネルをつくっているメーカーは、アイカ工業・JFE建材・LIXILなどさまざまな会社があります。各社さまざまな素材やデザインのパネルを出しているので、いくつかのメーカーを比較検討してみるとよいでしょう。
どのようなデザインの取り扱いがあるか調べておく
メーカーによって、パネルの素材やデザインなど取り扱いはさまざまです。
例えばアイカ工業はメラミン樹脂系のキッチンパネルが豊富。柄入りから無地までたくさんのカラーを展開しています。
ホーローキッチンパネルで有名なのがJFE建材。高級感あふれる美しい光沢があり、マグネットやホワイトボード用マーカーも使えます。
このように各社特徴があるため、メーカーのホームページやカタログで確認しておくのがおすすめ。いくつかのメーカーに絞ってから、ショールームで実物を見てみるとよいでしょう。
相談しやすいメーカーだと安心
ここまでキッチンパネルの素材や特徴などご紹介してきましたが、実際にご自宅の壁に貼るとどんな雰囲気になるのか、清掃性はどうなのかとわからないことも多いですよね。
何か疑問点があれば、メーカーに相談されると安心です。希望を伝えると、よりイメージに合わせた商品を紹介してもらえることもあるでしょう。電話やメールでも案内してもらえますが、近くにショールームがあるメーカーだと、実物を確認しながら相談ができます。
まとめ
キッチンパネル選びで、キッチンだけでなくリビングやダイニング全体の印象が大きく変わります。自分好みにリフォームすれば毎日の料理が楽しく、そしてお掃除もぐんと楽になりますよ。キッチンをもっとおしゃれにしたい、お手入れを楽にしたいという方はスペースアップにご相談ください。あなたのキッチンに最適な内装や設備をご提案いたします。
記事の監修者
リフォームプランナー
鈴木淑子
二級建築士 / インテリアコーディネーター
お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。
お客様の要望に応えるべく、プロの目線と女性の目線を掛け合わせて、様々なプランをご提案。ご要望を反映した図面や完成予想図を見ながら細かく話し合い重ね、理想を超える住まいをデザイン。間取りや動線、インテリアデザインまで、幅広く理想の暮らしを叶えるためのポイントを、わかりやすくお伝えします。