無垢材とは？種類やメリット・デメリットは？おすすめのお手入れ方法もご紹介

無垢材とは、天然の木材ならではの質感や香りを楽しめる木材のこと。フローリングや家具などに使われているので、誰でも目にしたことがあるかと思います。しかし改めて「無垢材とはどういうものなのか？」と聞かれると、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は無垢材の特徴やメリット・デメリット、気になるお手入れ方法などを詳しく解説します。また樹種による特徴や、無垢材を使ったリフォーム事例もご紹介するので、おしゃれなお部屋づくりにお役立てください。

無垢材とは？

無垢材とは、天然の木材から切り出した一枚板のこと。スギやヒノキ、オーク、パインなどさまざまな樹種から作られています。

山から伐採してきた丸太の木目を見ながら使用するサイズの板状にカット。そのままでは木の中に含まれている水分が多すぎるため、反りや割れのリスクを減らすために適度に乾燥させてから使用します。

無垢材は無塗装の状態だと水や汚れが染み込みやすいので、表面にはオイルやウレタン塗装などを施すのが一般的。浸透性塗装（オイル・蜜蝋など）は定期的に塗り直しが必要ですが、木の質感をそのまま残すことができます。ウレタン塗装をすると木の肌触りは少なくなりますが、表面に膜が張られた状態になるので、水には強くなるのが特徴です。

集成材との違い

住宅の新築やリフォーム、家具などに使われる木材は「無垢材・集成材」の大きく2種類に分けることができます。

無垢材と集成材の大きな違いは「接着剤を使っているか否か」というところ。集成材は小さな木材を接着剤で貼り合わせて製造されていますが、無垢材はは接着剤は使われていません。そのため無垢材は木目や色味など一枚ずつ違った表情を楽しめますが、集成材は見た目のバラつきが少なく、サイズや強度も細かく調整して製造されています。

集成材の表面に貼られているのは、無垢材を数ミリの薄さにスライスしたものや、木材の模様をプリントした化粧シートなど。そのため見た目のあまりよくない木材も中に挟んで使うことができ、低コストで安定した品質の木材を提供することができます。

無垢材のメリットは？

無垢材には次のようなメリットがあります。

素足で歩いたとき柔らかさと温もり感がある

無垢材の最も大きなメリットが、木材ならではの風合いが味わえること。フローリングに使うと、心地よい香りや肌触りを楽しめます。

冬に素足で歩いても冷えを感じにくく、温もりのあるお部屋に。夏はベタベタせずに、サラッとした肌触りです。ついごろんと寝転んだり、靴下を脱いで素足で歩きたくなったりする気持ちのよさがあります。

硬さや肌触り、香りは樹種ごとに違ってくるので、好みの種類を見つけましょう。

年を重ねるにつれ深い色味に変化する

一般的な集成材は新しいときが最も美しく、古くなるほどに「劣化」をしていくものです。傷や凹みがついても大した補修はできないので、古く汚くなれば交換するしかありません。

しかし無垢材の場合は「経年美」を楽しむことができ、住むほどに愛着がわきます。最初は薄い色をしていた木材も、時が経つごとに深みが増して艶のある飴色に。樹種によっても変化のしかたはさまざまなので、変化の仕方も含めて選ぶとよいでしょう。

室内の湿度を快適に調整してくれる

無垢材には、周囲の湿度が高いときには水分を吸収し、周囲が乾燥しているときには自身の水分を放出するという性質があります。

内装材として無垢材を使うと、この調湿作用によって過度な乾燥や湿気を防いで、快適な室内環境を整えてくれます。とくにフローリングは空気に触れる面積が広いので、無垢材の調湿効果を活かすのにぴったりです。

無垢材のデメリットは？

一方で、無垢材には次のようなデメリットもあります。

水濡れを放置するとシミになる

無垢材は水や油がついたまま放置するとシミがつきやすいので、キッチンやトイレなどの水まわりでの使用には注意が必要です。濡れたときには、なるべくすぐに拭き取るようにして、きれいな状態を保ちましょう。

また表面の仕上げによっても水への強さは変わってきます。オイルや蜜蝋などの浸透性塗料は木材の自然な質感を残せますが、水によるシミはつきやすいです。

水まわりで使う場合や、お子さんのいるご家庭、こまめに拭き取るのが面倒な方は、表面を塗膜でコーティングするウレタン塗装も検討されるとよいでしょう。

傷や凹みがつきやすい

無垢材は集成材に比べて柔らかいので、椅子を引きずったり硬い物を落としたりしたときに傷や凹みがつきやすいです。とくに濃い色の無垢材は、白っぽい傷がよく目立ちます。

どれだけ丁寧に生活しても、必ず傷はついてしまうもの。無垢材の傷や凹みは「風合い」として楽しむ姿勢でいるのがおすすめです。また詳しくは後述しますが、軽い傷や凹みならヤスリをかけたり水分を含ませたりすることでご自身で補修もできます。

集成材に比べると高価

一般的に集成材に比べて、無垢材のほうが割高になります。集成材は内側に見た目が悪い木も使いながら、安価で量産できるからです。

予算オーバーしないためには、無垢材を使う場所を絞るのがポイント。たとえば家族が集まるリビングの床にはこだわりの無垢材を用いて、2階の廊下などあまり目に入らない部分は集成材を使うなど、メリハリをつけて使用しましょう。

無垢材の種類と特徴

無垢材と一口に言っても、樹種によって木目や色合い、硬さなどが異なります。インテリアテイストや使いたい場所に合わせた種類を選びましょう。

パイン

■色：白〜薄黄色
■特徴：柔らかい、コストが安い
■相性のよいインテリア：カントリー、北欧、ナチュラル

パイン材は比較的安価。柔らかく加工しやすいため、DIY用の素材としても人気です。フローリングに使うと衝撃を吸収しますが、やや傷つきやすいので気をつけましょう。

スギ

■色：淡い赤みのある色
■特徴：まっすぐな木目
■相性のよいインテリア：和風、北欧、ナチュラル

スギは日本で昔からよく使われてきた身近な樹種。軽量で柔らかく、優しい触り心地なので、フローリング材としても使いやすいです。

ヒノキ

■色：白〜ピンク系
■特徴：特有の香り
■相性のよいインテリア：和風、北欧、ナチュラル

ヒノキ風呂でよく知られている、香りが特徴的な樹種。少し赤みのある色で、きめ細かくツヤのある見た目です。スギよりも高価でお手入れも少し手間がかかりますが、耐水性や強度の面で優れています。

オーク

■色：黄褐色〜灰褐色
■特徴：硬く耐久性が高い、クセがなくナチュラル
■相性のよいインテリア：北欧、シンプル、モダン

「ナラ」という名前でも親しまれているオーク。「虎斑（とらふ）」と呼ばれる虎の背中のような個性ある木目が特徴です。木質は硬く、耐久性・耐水性にも優れているので、高級家具やウイスキー樽などによく使われてきました。高級感はありますが、広葉樹のなかでは価格も安めで使いやすい樹種といえるでしょう。

チーク

■色：茶褐色
■特徴：高級感がある、耐久性に優れる
■相性のよいインテリア：ヴィンテージ、北欧、アジアン

世界三大銘木の1つであるチーク材は、水に強く腐りにくいという特徴から、船の甲板や高級列車の内装材にも使われてきました。よく乾燥させたチーク材は硬くて狂いが少なく、水に強いためお手入れもしやすいです。経年とともに段々と美しい艶のある褐色へと変化していきます。

ウォルナット

■色：赤茶褐色〜黒紫色
■特徴：重く硬い、濃い色味
■相性のよいインテリア：モダン、ホテル風、ヴィンテージ

ウォルナットも世界三大銘木の1つ。落ち着いた濃いブラウンの色味や、美しい木目が特徴。重厚感、高級感のあるインテリアをお好みの方によく選ばれます。

チェリー

■色：薄桃色〜赤褐色
■特徴：きめ細かくやさしい木目、経年変化が顕著
■相性のよいインテリア：ナチュラル、モダン、北欧

少し赤みのあるブラウンが美しいチェリー材。滑らかな木肌で、美しい光沢を持ちます。水に強く耐久性に優れているのも特徴です。クセが強すぎないので、どんなインテリアにも合わせやすいでしょう。

無垢材を長持ちさせるためのお手入れ方法

無垢材のお手入れ方法は、表面の仕上げによって異なります。

ウレタン塗装

ウレタン塗装が施してある場合、基本的にメンテナンスフリーです。日々の掃除機や雑巾がけをするのみで、サンドペーパー等による補修は不可となります。ワックスがけは基本的に必要ありませんが、市販のワックスを使われる場合は利用可能かよく確認しましょう。

浸透系塗料

オイルや蜜蝋などの浸透系塗料を施した無垢材は、定期的な再塗装が必要。軽い傷や凹みなら、ご自身で簡単に補修することもできます。

【毎日】基本は乾拭きで！

無垢材の日常的なお手入れは、掃除機や雑巾の乾拭きなど、通常のお掃除でOKです。

汚れがこびりついている場合などは、水（もしくは中性洗剤や専用クリーナーを薄く溶かした水）を雑巾に含ませて、固く絞ってから使いましょう。

水拭きするときには、なるべく水が残らないように、乾拭きで仕上げるのがポイントです。ジメジメした日を避けて水拭きすると、しっかりと床の水分を乾かすことができます。

【年1回】再塗装・ワックスがけ

オイルや蜜蝋などの浸透系塗料の無垢材は、半年〜1年に1回程度で再塗装のお手入れを。定期的に保護することで汚れがつきにくくなり、色艶も蘇ります。

手順としては表面に残った汚れを取り除き、オイルや塗料を木目に沿って刷り込むように塗布。表面に残った余分な塗料は、乾いたウエスなどで拭き取って乾燥させます。

【傷・汚れが目立つとき】やすりがけで補修

細かいすり傷は、サンドペーパーなどを使って薄く削りとることで補修できます。

凹み傷には濡れたタオルなどを置いてアイロンをあてると、ある程度元に戻すことも可能です。

無垢材を取り入れたインテリア

無垢材はフローリングだけでなく、家具としてインテリアに取り入れることもできます。

ダイニングテーブル

LDKのメイン級のアイテムであるダイニングテーブル。表面積も大きい家具なので、無垢材を使ったこだわりの商品を選ぶとインテリアがぐんと格上げされます。美しい木目は食事も美味しく見せてくれますよ。

樹種は気に入った色味や木目を選ぶとよいですが、落ち着いた雰囲気のウォルナット、ナチュラルでどんなインテリアにも合わせやすいオークなどが人気。硬めの樹種を選ぶと、テーブルの上で書き物をしても傷がつきにくく、水シミもできにくいでしょう。

チェア・ソファ

ダイニングチェアは直接体に触れるものなので、無垢材の肌触りのよさを存分に味わえます。座面や背もたれのカーブが椅子によって違うので、座り心地がよいものを選びましょう。

無垢材をフレームに使ったソファも、個性がでてインテリアのアクセントに。座面やクッションは交換しながら、長く愛用することができます。

テレビボード・収納家具

リビングのなかで目立つのが、テレビボードです。市販品を購入されてもよいですが、よりサイズや素材にこだわりたいならオリジナルの造作テレビボードもおすすめです。内装リフォームの際に造作すると、意外とコストも安く抑えられ、お部屋にジャストフィットするサイズでつくれます。

テレビボード以外にも、本棚やキッチンの壁面収納、サイドボードなどさまざまな収納家具が造作可能。なかなか市販の家具だとデザインもサイズもぴったりのものを揃えるのは難しいですが、造作家具ならインテリアの統一感を出すことができます。ぜひインテリアコーディネーターの在籍するリフォーム店にご相談ください。

無垢材を使ったリフォーム事例

ここからはスペースアップによる、無垢材を使ったリフォーム事例をご紹介していきます。

【事例1】チェリー、パイン、オーク…色んな樹種を組み合わせたリビング

■建築タイプ：戸建
■施工地：大阪府
■築年数：39年

広々としたリビングを木の温もりをたっぷりと感じるやさしい空間へとリフォームした事例です。フローリングは経年とともに深みが増すブラックチェリーを。キッチンにはパイン、家具にはオークとウォルナットと、さまざまな樹種を組み合わせました。すべて無垢材を使っており、木の肌触りが感じられます。リビング入り口のドアにも無垢の建具をチョイスしました。

【事例2】無垢材のカウンターとニッチが可愛いナチュラルカントリーなキッチン

■建築タイプ：マンション
■施工地：神奈川県
■築年数：15年

こちらはナチュラルカントリー風なキッチンにリフォームした事例です。壁付けI型キッチンを対面式へと変更し、こだわりの無垢のカウンターを造作。壁の厚みを生かしたニッチ収納には、お気に入りの雑貨や小物を飾って楽しむことができます。キッチン以外の空間にも、温もりのある無垢材をたっぷり使って、ナチュラルで可愛らしい空間をつくりました。

【事例3】無垢材×コンクリート調がかっこいいアメリカンヴィンテージなリビング

■建築タイプ：戸建
■施工地：大阪府
■築年数：8年

自然素材と無機質な素材を組み合わせた、アメリカンヴィンテージ風のリフォーム事例です。床には温もり感のある無垢のフローリングを。天井には正反対のクールな印象をもつコンクリート調クロスを組み合わせることで、それぞれの素材が引き立ちおしゃれな雰囲気になっています。これから住んでいくうちに無垢床のヴィンテージ感や色艶が増して、インテリアに深みがでてくるのも楽しめるでしょう。

まとめ

家を新築したりリフォームしたりするとき、フローリングや家具の素材選びはとても大切です。無垢材を選ぶと、木ならではの手触りや香りが楽しめて、インテリアもぐんと格上げされます。経年とともに色艶に深みが増していくので、愛着を持って長くお付き合いしていけるのも魅力です。

しかし無垢材はコストも高くなるので、予算に合わせた使いどころがポイントに。またどんな樹種を選ぶかによって、インテリアの印象やメンテナンス性も全く変わってきます。無垢材を使いたい方はリフォーム会社に相談して、素材選びのアドバイスをもらいましょう。

スペースアップにはインテリアコーディネーターも在籍しておりますので、あなたの好みを反映しながら、バランスのとれたインテリアデザインをご提案できます。「まだイメージが固まっていない」「センスに自信がない」という方も、丁寧なヒアリングでお好みのスタイルを見つけていくことができますので、お気軽にご相談ください。