リフォームコラム

スロップシンクとは?メリット・デメリットや施工事例を紹介

スロップシンクというのはあまり聞き慣れない言葉かもしれません。しかし最近ではお子様の汚れた衣類を予洗いしたり、ガーデニングや掃除用品、アウトドアグッズなどを洗ったりするのに便利だと、人気が高まっている設備になります。今回はスロップシンクとはどういうものなのか、用途や設置場所、注意点、施工事例などをお伝えします。

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スロップシンクとは?

スロップシンクとは、深さのある大型のシンクのことをいいます。蛇口は水と湯の2つ、もしくは混合水栓がつけられるのが一般的です。間取り図や図面では「SK」と表記されていることも多いのですが、これはTOTOのスロップシンクの型番がSKだったことが由来だといわれています。

スロップ(slop)とは、英語で汚水などという意味。雑巾や泥汚れのついた衣類など、主に汚れたものを洗う用途に使われます。深さがあるので汚水を流しても周りに飛び散りにくく、また清潔に保ちたいキッチンシンクや洗面台を汚さずにすみます。また食べこぼしや泥などが流れていっても詰まりにくいように、通常よりも太めの排水管が使われることもあります。

スロップシンクの設置場所は、洗面所のほか玄関土間や庭、ガレージなどさまざま。マンションでは、ベランダにスロップシンクが設置されている物件もあります。用途に合わせて、使いやすい場所に設置するとよいでしょう。

【スロップシンクの設置場所と用途の例】

  • 洗面所
    衣類の予洗いやつけ置き、絵の具や習字道具を洗う、掃除道具を洗う、小型犬のシャワー
  • 庭、ベランダ
    DIYグッズやアウトドア用品、ガーデニンググッズを洗う、屋外の掃除道具を洗う、ペットの足洗い場
  • 玄関土間
    汚れた靴やユニフォームなどの予洗い、帰宅時の手洗いうがい
  • ガレージ
    DIYグッズを洗う、車やバイクの整備中の手洗い

スロップシンクのメリット

汚れ物を洗うのに便利

泥で汚れた靴や、掃除に使ったモップや雑巾、絵の具のついたパレット、習字道具など、キッチンシンクや洗面台で洗うのに抵抗があるものもありますよね。そんなときにスロップシンクがあれば、汚れものも気にせずに洗うことができます。スロップシンクは深めなので、水を溜めて衣類や靴のつけ置きをするのにも便利。通常の洗面台とは別にスロップシンクを設置すれば「洗面台でつけ置きをしているので手が洗えなくて困った……」なんてこともありません。

玄関先で手や靴を洗える

玄関や屋外にスロップシンクがあれば、泥で汚れた靴やユニフォームなどを家に持ち込むことなく予洗いすることができます。またスロップシンクは汚れものだけでなく、手洗いに使うことも可能。玄関先で手を洗ってから家の中に入ることができるので、感染対策としてもおすすめです。このようなセカンド洗面は、お子様に手洗い習慣を身につけてほしいという方に最近人気が高まっています。

ガーデニングやアウトドアに使える

庭先やバルコニーにスロップシンクを設置すると、ガーデニングや家庭菜園に便利。たとえばホースをつないで水やりをしたり、収穫した野菜の泥を洗い落としたり、ガーデニンググッズや長靴を洗ったりと、さまざまな用途に使えます。また釣り道具やバーベキューコンロなどのアウトドア用品は、サイズも大きく汚れも気になるので、キッチンや浴室で洗うのは抵抗があるもの。そういったグッズを洗うのにもスロップシンクは適しています。

ペットのお世話に使える

スロップシンクの設置は、ペットを飼っているご家庭にもおすすめです。屋外や玄関まわりに設置して、おさんぽ帰りの犬の足洗い場に。また幅や奥行きが広めのタイプなら、小型犬のシャンプーにも使うことができます。犬が立てるように底がフラットで、水はねしにくいようにフチの立ち上がりが高めなスロップシンクを選びましょう。温水シャワー付きの水栓をつければ、冬場にペットに寒い思いをさせずにシャンプーや足洗いをしてあげられます。

スロップシンクのデメリット

設置スペースが必要

スロップシンクは通常の手洗い用洗面ボウルよりも大きめ。深さだけでなく、幅や奥行が広い場合も多いので、設置スペースがとれるかしっかり確認しましょう。後ろを人が通れるか、洗濯機や棚などは問題なく配置できるかなど、レイアウトや動線も具体的にチェックします。洗面室が狭く、通常の洗面台+スロップシンクと2つ設置するのが難しい場合は、メインの洗面台を大きめなボウルにするのも一つの方法です。

種類が少なめ

通常の洗面ボウルに比べて、スロップシンクは種類が少ないのもデメリットです。メーカーによって呼び方はさまざまなので、「スロップシンク」という名称だけでなく、「マルチシンク」「実験用シンク」「病院用シンク」などもチェックしてみましょう。よくスロップシンクとして使われているのは、TOTOの「SK507(洗濯用流し)」や「SK510(マルチシンク)」、「SK7(実験用シンク)」など。またTOTO以外にスロップシンクが販売されているメーカーとしては、サンワカンパニー・アドヴァン・カクダイなどがあります。

オーバーフローの穴がない商品も

オーバーフローとは、洗面ボウルが満水になったとき、水が溢れないように流す機能のこと。通常の洗面ボウルと見ると、手前や奥に穴が空いており、満水になったときにはそこから水が流れていくかと思います。スロップシンクという名称の流しにはオーバーフロー用の穴がついていることが多いのですが、スロップシンクのような用途としてよく使われる実験用シンクや病院用シンクにはオーバーフロー機能がないことも。水を溜めて使うときには、水を出しっぱなしでその場を離れないように気をつけましょう。

スロップシンク設置時の注意点

スロップシンクを設置するなら、まずは「何に使うか?」という目的を明確にしなければなりません。洗濯の予洗いをしたいなら洗面室に、ガーデニングに使いたいなら庭やバルコニーになど、目的に合わせて設置場所を考えます。洗面室に2つの洗面台が不要ということであれば、メインの洗面台としてスロップシンクを採用するのも一つの方法です。

スロップシンクの用途によっては、お湯をでるようにしておいたほうがよいでしょう。ガーデニングの水やりだけなら給湯管は不要ですが、冬場に衣類の手洗いなどをするなら、お湯がでたほうが良いですよね。また寒冷地の屋外に設置するなら、冬場の凍結対策も忘れないようにしなければなりません。

スロップシンクで汚れ物(泥や墨汁、絵の具など)を洗うなら、水はねへの配慮も必要です。いくらシンクの深さがあるといっても、吐水口の位置が高すぎたり、水圧が強すぎたりすると周囲に水滴が飛び散ってしまうことがあります。壁や床が汚れてしまわないように、水はねしにくい水栓選びや位置設定など気をつけましょう。また周囲の壁材や床材は、撥水性があって掃除しやすいタイルなどの素材を使うと、万が一水がはねてもサッと拭き取ることができます。

スロップシンクの設置事例

【事例1】アンティークな洗面室

■建築タイプ:戸建
■築年数:35年
■家族構成:3人(祖母・母・子)

造作洗面に、大型の実験用シンクを組み込んだ事例です。アンティークな金色の水栓やブラケットライト、温もり感のある木製カウンターやモザイクタイルを組み合わせて、素敵な洗面空間にしています。シンクの幅が広いので、2人で並んで使いやすく、隅のほうにバケツなどを置いたまま手洗いをすることも。大きさを活かして、たくさんの衣類や靴をつけ置きすることもできるため、洗濯物の多い大家族やお子様が小さいご家庭にもおすすめです。

【事例2】アメリカンヴィンテージな洗面室

■建築タイプ:マンション
■築年数:8年

こちらは白を基調とした清潔感のある洗面室に、レトロな実験用シンクを組み合わせました。幅のあるシンクなので、つけ置きや予洗いにとても便利です。色味はシンプルな空間ですが、大きな白いタイル、大きな鏡、マリンテイストなライト、黒いタイル床など、こだわりの物を組み合わせて、アメリカンヴィンテージな洗面室に。上部には木製の造作棚をつくり、ストック類などをしまえるようにしました。

【事例3】ナチュラルな洗面室

■建築タイプ:戸建
■築年数:40年

こちらも洗面室に、実験用シンクを導入した事例です。シンプルな木製のカウンターに白いシンクを入れて、排水管は剥き出しにしています。深さも広さもあるので、身支度から洗濯物の予洗いまで幅広い用途に使いやすくなっています。また注目したいのは、水栓が壁出しになっていること。カウンターから立ち上がるタイプのように、水栓の根本に水がたまることがなく、水栓の水垢やカビが気になりにくいのがメリットです。

まとめ

スロップシンクは、通常の洗面ボウルに比べて、深さや幅があるのが特徴。洗濯物の予洗い、靴のつけ置き、ガーデニングや掃除、アウトドアグッズのお手入れなどに便利に使っていただけます。また無骨なデザインやレトロな雰囲気も、人気が高まっている理由の一つです。さまざまなメーカーから出ているので、お気に入りのデザインの商品を見つけてみてくださいね。スペースアップでもおすすめのスロップシンクをご紹介できます。もっと洗面所や外まわりを使いやすい空間にしたい方や、通常の洗面ボウルとスロップシンクのどちらを導入するか迷っている方は、ぜひご相談ください。

記事の監修者

リフォームアドバイザー

藤本塁

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。

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