リフォームコラム

リノベーション物件のメリット・デメリット!費用相場や注意点を解説

近年、需要が高まっているのが、中古のマンションや戸建て住宅を購入して、自分好みに改装するリノベーションです。新築よりも希望するエリアで物件を見つけやすかったり、費用を抑えられたりすることから注目されています。しかし、リノベーションでどこまで希望通りの住まいに変えられるか気になる方もいるでしょう。 今回はリノベーション物件のメリット・デメリット、物件選びの注意点などをお伝えします。リノベーション物件の施工事例もご紹介するので、どんな住まいになるのかぜひチェックされてください。

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リノベーション物件とは?

リノベーション物件とは、中古物件を購入して、住宅性能や付加価値を向上させる工事を行って住む物件のこと。断熱性や耐震性を高めたり、ライフスタイルにあった間取りに変えたり、おしゃれなデザインやバリアフリーを叶えたりと、希望に合わせて工事を行います。単に古くなった建物を修繕するのではなく、もっと住まいの機能を高めたい方におすすめです。

リノベーションには主に「部分リノベーション」と「フルリノベーション」の2種類があります。
・部分リノベーション:浴室やキッチンのみなど部分的な工事をする
・フルリノベーション:建物全体を骨組みの状態まで解体したあと間取りや設備を構成していく
給排水管の移動が伴う水回り設備の移設もできるので、壁付けから対面キッチンにしたり洗面台の増設をしたりすることも可能です。

リノベーションは比較的大きな工事になることも多いので、仮住まいが必要になることもあります。工事内容によっては住みながらリノベーションができる場合とそうでない場合があるので、業者に確認することを忘れないようにしましょう。

リノベーションとリフォームとの違い

リノベーションと混同しやすいのがリフォームですが、両者は工事の規模や目的が違います。

リノベーション

新築当初よりワンランク上の性能にして住みやすくする工事。間取り変更や給排水管の移動など、比較的大掛かりな工事になることも多いです。

リフォーム

劣化していたり破損していたりする箇所を元通りに戻す、あるいは新しくする工事。ユニットバスの交換や壁紙の張り替えなどが該当します。リフォームには「原状回復」や「元に戻す」という意味合いがあり、きれいにはなりますが基本的な機能性はそのままです。

リノベーション物件のメリットとは?

築年数の古い物件を購入して、リノベーションをするメリットは何なのでしょうか。リノベーション物件が注目されている理由を5つご紹介します。

新築より安く物件を購入できる

同じような立地や広さの物件であれば、新築に比べて中古物件は安く手に入れることができます。

こちらは令和4年2月の首都圏と近畿圏における、新築・中古マンションの平均価格を比較した表です。あくまでも平均ではありますが、中古の平均価格は新築のおよそ5〜6割に抑えられています。

首都圏近畿圏
新築マンション平均価格7,418万円4,433万円
中古マンション平均価格4,023万円2,633万円

https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/202203/202203_2kaihatsu.pdf
https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/202203/202203_3ryutsu.pdf

新築はやはり価格設定が高いので「少しでも安くきれいな家を手に入れたい」という理由で、中古物件を購入してリノベーションされる方が多いです。

間取りや内装変更ができる

既存の建売住宅や分譲マンションなどは、どこか似たり寄ったりなデザインで、オリジナリティーに欠けますよね。リノベーションなら内装や設備はもちろん、間取りなども自由に変えることができます。

間仕切りのない広々としたリビングダイニングをつくったり、お好みの壁紙や床材を選んだり。システムキッチンやトイレ、浴室もお好きなメーカーや機能のものが選べます。既存のマンションにはなかなかない、こだわりの照明演出をすることもできるでしょう。

選べる物件の幅が広がる

リノベーションを視野に入れて物件探しを行うと、新築より選べるエリアと物件数が増えるのもメリットです。選べる物件の幅が広がれば、通勤や子育てのしやすさなど、ご自身が大切にしたい条件を優先できるでしょう。

とくに都心部では、立地のよいところには既に建物が建っているため、なかなか新築のマンションはでてきません。また好条件の物件があっても、競争率が高くて購入できなかったり、値段が高くて予算オーバーだったりと、諦めざるをえないケースが多くあります。中古であれば予算も安く設定できるので、憧れのエリアに住める可能性がでてくるかもしれません。

古い物件の良さも残すことができる

古い物件の良さを残しながら、住みやすい家にできるのもリノベーションの魅力です。最近は「古民家リノベーション」も人気で、立派な梁をあえて見せたり、大黒柱や建具を活かしたりすることも。昔の住宅に使われている建材は、今となっては入手が困難な場合も多く、そういった希少価値の高いものを残すという意味合いもあります。

すべてを一新するのももちろん良いですが、古い部分と新しい部分が入り交じる空間は一味違ってきます。メリハリがついたり、和モダンな雰囲気にしやすかったりと、楽しみ方が広がりますよ。

資産価値が安定している

新築は徐々に市場価格が下がり、築20年ぐらいで安定するといわれています。新築の物件を購入すると一気に価格が下がってしまいますが、ある程度価格の安定した中古物件を買うことで、将来売却をするときにも損をしにくいでしょう。

築年数が古くても、リノベーションで適切な補修をすることで、資産価値を保ちやすくなります。たとえば劣化した配管を補修するとその後の不具合が起きにくく、耐震補強や断熱工事をすれば物件の価値も上げられるでしょう。

リノベーション物件のデメリットとは?

リノベーション物件を検討するなら、メリットだけではなくデメリットを把握しておくことも大切。4つのデメリットをご紹介するのでチェックしていきましょう。

入居までに時間がかかる

新築・中古物件をただ購入して住む場合は、引き渡しが終わればすぐに入居することができます。しかし、リノベーションをしてから住むとなれば、引き渡し前までに耐震審査や工事内容の打ち合わせ、工事など、ある程度の期間が必要です。建物の老朽化具合やリノベーション内容によっては、打ち合わせや施工に多くの時間を要することもあるでしょう。

リノベーション物件に住むなら、希望する入居時期から逆算して購入や打ち合わせ、工事を進めていけるように余裕をもって計画しましょう。希望の入居時期がある方は、必ずリノベーション会社に伝えてくださいね。

築年数が古く耐震性などに不安があることも

耐震基準は1981年に改正されているので、築40年以上の物件だと現行の耐震性能を満たしていない可能性があります。安心して長く暮らしていくためには、現在の建物の状態を確認して、必要であれば追加の耐震補強をしなければなりません。場合によっては耐震補強のコストがかさんで、トータルで新築よりも費用がかかってしまうこともあります。

古い物件でも高い耐震性能をもった建物はありますので、ケースバイケース。心配な場合は事前に専門家の耐震診断を受けて、補強工事の必要性や適切な工事内容を確認されるとよいでしょう。

想定外の補修費用がかかることがある

中古物件には盲点があって、内見や購入時に建物の状態がよさそうに見えても、目に見えない箇所に難がある可能性があります。すべてのケースではありませんが、排水管や躯体、壁の下地などの劣化状況は解体しないとわからないことも少なからずあるのです。

追加の補修費用によって予算オーバーしないためには、中古物件のリノベーションに詳しい会社に設計・施工を依頼することが大切です。知識のある設計士であれば、築年数や修繕履歴から、目に見えない部分の劣化状態もある程度予測することができます。

構造や管理規約によって叶えられないことがある

マンションは管理規約を設けていることがほとんどなので、希望通りのリノベーションができないケースがあります。一方の戸建ては、建築基準法に則っていればほとんどの工事が可能。マンションより自由度が高いのが特徴です。以下に、戸建てとマンションで叶えられない可能性がある項目をまとめました。

戸建ての場合

  • 耐震性や構造に影響する柱や壁は抜けない
  • 建ぺい率・容積率・斜線制限などを超える増改築はできない

マンションの場合

  • 外壁の塗り替えはできない
  • 撤去できない柱や壁がある
  • 近隣に迷惑をかける工事はできない
  • 床仕上げ材の遮音性が決められていることが多い
  • 電気の容量を超える浴室暖房換気扇やエアコンの設置が難しい

リノベーション物件の費用相場

実際にリノベーション物件にかかる予算はどれくらいで考えていればいいのでしょうか。
リクルート住まいカンパニーが実施した「中古住宅を購入して入居前にリフォームした人のリフォーム費用」の調査結果は次のとおりです。

https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruit-sumai/data/upload/20180116_reform2017.pdf

一戸建てでもマンションでも最も多い価格帯は300〜500万円で、全体の約半数を占めています。一戸建ての場合は1000万円以上も約3割おり、マンションに比べて工事の規模が大きくなりやすいことがわかります。

リノベーション価格が高くなりやすいのは、スケルトン状態から間取り変更を含めたリノベーションを行ったり、建物を支えている構造や給排水管に欠陥があったりするケースです。まずは物件の状態に適する工事内容を明確にして、希望するリノベーションプランを立てましょう。

リノベーション済みの事例4選

ここからは、スペースアップによる中古物件を購入してリノベーションをした事例を4つご紹介します。

【事例1】明るく開放的な空間にリノベーション

■建築タイプ:戸建て
■施工箇所:外壁や屋根を含む全面
■費用:1,697万円
■築年数:39年

築39年の戸建てを、リノベーション前提でご購入。外壁や耐震工事も含めて、全面的に手を入れました。キッチンとリビングの壁をなくして、開放的なLDKに。暗く閉鎖的だった浴室や洗面も広く取り、明るく使いやすい水回りにしました。
内装はブラックチェリーやパインなどの無垢材をベースに、ぬくもり感のある仕様に。キッチン横の抜けない柱は補強も兼ねて2本追加して、お部屋のアクセントになる造作格子にしました。

【事例2】快適性もアップしたホテルライクなリノベーション

■建築タイプ:マンション
■施工箇所:キッチン・リビング・ダイニング・居室・お風呂・洗面
■費用:730万円
■築年数:18年

マンションの最上階をホテルライクにリノベーションした事例です。もともときれいなお家でしたが「ホテルのような上質な空間に帰宅して癒やされたい」という想いを叶えるために、ワンランク上の空間コーディネートに。天井を照らすコーブ照明や、壁を照らすコーニス照明を取り入れ、高級感を演出しました。
築18年と比較的築浅にもかかわらず、窓の断熱がされておらず外の気温の影響を受けやすいという問題があったこちらの物件。リノベーションでしっかり断熱工事をして快適にすごせるようにしました。お風呂の天井高も高くしています。

【事例3】ブルックリンスタイルのリノベーション

■建築タイプ:マンション
■施工箇所:全面
■費用:744万7千円
■築年数:21年

ダークなブルックリンスタイルに仕上げた、マンションのリノベーション事例です。3LDKの間取りでしたが、より広い空間を求めていらしたので、お部屋同士の間仕切りを撤去してつなげました。和室は洋室に変更して、アイアンやレザーのインテリアが馴染む空間になりました。
床材にはフロアタイルを採用し、壁の一部にタイルを貼っておしゃれさを追求。ゆったりとした時間が過ごせるように照明の明るさにも配慮し、生活感が出ないクールなリビングダイニングになりました。

【事例4】無垢材を使ったヴィンテージ風のリノベーション

■建築タイプ:戸建て
■築年数:8年

広いリビングダイニングをアメリカンヴィンテージ風にリノベーションした事例です。天井にはコンクリート調の壁紙を使用して無骨さを演出。リビングダイニングと隣の洋室をつなげて開放感を出しました。リビングの隣につくった寝室は、昼間は開放して広く使い、夜はロールスクリーンで区切って落ち着いて眠れるようになっています。
内装には、子どもが安心して遊べるように無垢材のフローリングを採用。これから住んでいくうちに色艶が深くなり、ますますアメリカンヴィンテージらしさが増していくでしょう。

リノベーション物件を選ぶ際の注意点

理想のリノベーションを叶えるには、物件選びが重要です。特にこだわりのある間取りや素材を取り入れたい方は、以下でご紹介する3つの注意点を押さえましょう。

間取り変更ができるか確認する

リノベーションで間取り変更をするケースは多いですが、抜けない柱や耐久壁があったり、マンションの管理規約上の制約があったりして、思い通りの間取りができない可能性もあります。物件探しの段階からリフォーム会社に入ってもらい、間取りの制約がないか確認しましょう。

間取り変更の自由度は構造によっても変わります。自由度が高いのは、ラーメン構造のマンションや、木造軸組工法の戸建て住宅です。壁式構造のマンションや、2×4工法の戸建て住宅のように「壁で支える構造」の建物は、比較的自由度が低くなることも多いです。

給排水管の位置や状態を確認する

古い物件をリノベーションするにあたって、給排水管の位置や状態の確認は必須。キッチンの移設やセカンド洗面台の設置など、水回り設備の移設・増設を行いたいという方は、希望通りの変更ができるか給排水管の位置を把握しておきましょう。

また、新築時から給排水管を交換していない場合は配管が劣化している恐れがあります。配管の劣化は水漏れの原因につながるので、リノベーションの際に補修や交換をしておくと安心です。

マンションは管理規約や共用部も必ずチェック

マンションは管理規約を守って工事を行わなければなりません。特に注意してほしいのが、専有部と共用部の取り扱い。一見、室内なので専有部に見える玄関ドアや窓も、共用部に指定されていれば住民が勝手に工事をすることはできません。

専有部:間仕切り壁・内装・水回り設備など
共用部:共用廊下・バルコニー・玄関ドア・窓・パイプスペースなど

専有部に関しても「使用できる床材が決められている」「間取り変更を禁止している」などマンションごとにルールは異なります。リノベーション物件を探す際は、希望する工事ができるかどうか、しっかりチェックしておきましょう。

まとめ

中古の戸建てやマンションを購入して、間取りや水回り設備などを新築以上の状態に大改装するリノベーション物件。新築よりも物件を安く入手でき、理想とする住まい像へとお得に変身させられるのが大きなメリットです。耐震性や耐久性に問題なければ、梁や柱など風合いのある建材を残すこともできます。

スペースアップはリノベーション実績も多数ありますので、希望するプランが叶うかどうか知りたい方はぜひご相談ください。

記事の監修者

リフォームアドバイザー

藤本塁

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。

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