リフォームコラム

住宅リフォームの補助金対象とは?優遇制度や申請時期、注意点を解説

介護や省エネ・耐震などの住宅リフォームでは、国や各自治体が設けている補助金制度を活用するとお得に実施できることがあります。しかし補助金の種類によって条件や対象となる工事内容に細かな違いがあるため、「どの補助金を使えばいいの?」と迷う人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、住宅リフォームにどのような補助金が活用できるのか、申請の方法や注意点などもあわせて解説します。

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住宅リフォームの補助金は事前申請が必要

大半の補助金・助成金は税金で運営されており、予算や期間に限りがあります。基本的には着工する前に申請が必要で、着工後やリフォーム完了後に申請しても受理されないケースが多いので注意しましょう。
また、補助金のなかには「○月○日までに工事を完了させること」など細かな条件付きの制度もあります。期間内に工事や入居を終えられるように、スケジュールについてもリフォーム会社とよく相談しましょう。

早期締切に注意

補助金制度には申請期限が設けられていますが、期限前でも予算の上限に達すると締め切られてしまいます。確実に補助金を受け取れるよう、申請期間中であってもなるべく早く手続きするのがポイントです。
新年度に募集をはじめて、夏〜秋ごろには終わってしまうケースが多いので、油断せず申請準備を進めましょう。

現在は新型コロナウイルス感染症対策で、郵送での申請を推進している自治体が多いです。通常よりも受理に時間がかかるため、余裕を持って郵送することをおすすめします。

補助金の対象になりやすい住宅リフォーム

住まいのリフォームに活用できる補助金・助成金は、さまざまな内容の工事を対象としています。
そのなかでも補助金の対象になりやすいのは、以下のリフォームです。

  • 介護・バリアフリーリフォーム
  • エコ・省エネリフォーム
  • 耐震工事
  • 在宅勤務・ウイルス対策リフォーム

それでは、ひとつずつ詳しくみてみましょう。

介護・バリアフリーリフォーム

介護・バリアフリーリフォームとは、介護や支援を必要とする人が、安全かつ快適に過ごせる環境づくりを目的として行う工事のこと。具体的には次のような工事内容です。

【介護・バリアフリーリフォームの内容と費用相場】

工事内容費用目安
手すりの設置(トイレ・浴室・階段など)3〜10万円/箇所
床の段差解消1〜20万円/箇所
開き戸から引き戸へ変更5〜30万円/箇所
滑りにくい床材へ変更(コルク床の場合)25〜30万円/6帖
和式から洋式トイレへ変更(一体型トイレの場合)20〜35万円

要支援・要介護の認定を受けている方が介護・バリアフリーリフォームを行う場合は、「介護保険」の住宅改修費の補助金が活用できます。
補助金の対象となるのは、最大20万円までの工事費用で、所得に応じて7〜9割の補助が受けられます。たとえば、工事費用が10万円かかれば7〜9万円、20万円かかれば14〜18万円が補助されます。

また、自治体によっては独自の介護リフォーム助成金制度を設けていることも。介護保険と自治体の補助金の併用ができるかどうかは自治体によって異なるので確認してみましょう。

エコ・省エネリフォーム

エコ・省エネリフォームとは、消費エネルギーを減らして、環境に負担の少ない住宅にする目的で行われるリフォームのこと。具体的には次のような工事内容です。

【エコ・省エネリフォームの内容と費用相場】

工事内容費用目安
外壁、屋根の断熱化80〜350万円
窓の断熱化5〜60万円/箇所
高効率給湯器の設置(エコキュートなど)40〜75万円/台
節水型トイレへ変更15〜35万円/台
太陽光発電システムの設置150〜330万円

エコ・省エネリフォームに活用できる補助金・助成金は、国が支援するものや自治体独自が支援するものなど数多くあります。
そのなかでもとくに金額が大きいのは「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」や「次世代省エネ建材の実証支援事業」などです。

「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、戸建て:最大120万円/戸・集合住宅:15万円/戸を上限として、3分の1以内の費用が補助されます。
「次世代省エネ健在の実証支援事業」は、外張り断熱は戸建て:300万円、内張り断熱は戸建て:200万円・集合住宅:125万円を上限に、工事費用の2分の1が補助される制度です。

耐震工事

自然災害で家が倒壊するのを防ぐために行う「耐震工事」も、リフォーム補助金の対象となります。具体的には次のような工事内容です。

【耐震工事の内容と費用相場】

工事内容費用目安
耐震診断20〜40万円
耐震改修、補強工事25〜200万円
ブロック塀の解体、撤去5,000円〜8,000円/㎡

耐震工事に関する補助金・助成金は各自治体で設けられていて、要件や補助金額に差があります。

補助対象になりやすいのは、1981年5月31日以前に建築確認を受けている「旧耐震基準」の建物。
一方、千葉県松戸市の「松戸市木造住宅耐震改修費補助金」や、大阪府大阪市の「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」のように、2000年5月31日以前に建築された住宅を対象とした制度もあります。
自治体によっては、地震で倒壊する恐れがある「ブロック塀の解体・撤去費用」を助成対象とするケースも増えてきました。

そもそも耐震工事に使える補助金がない自治体もあるので、お住まいの地域の制度を確認してみましょう。

在宅勤務・ウイルス対策リフォーム

近年は在宅勤務スペースの確保や、ウイルス対策を目的としたリフォームを行う人が増え、国や各自治体も補助金制度を設けています。対象になりやすい工事内容とかかる費用は、以下の通りです。

【在宅勤務・ウイルス対策リフォームの内容と費用相場】

工事内容費用目安
間仕切りの設置8〜25万円/箇所
壁に防音材を設置12万円〜(部屋の大きさにより変動)
窓の新設10〜30万円/箇所
洗面台の増設15〜50万円/台

在宅勤務のためのリフォームに活用しやすいのが、国が運営している「長期優良住宅化リフォーム推進事業」。耐震性・省エネルギー性・劣化対策の性能条件を満たせば、テレワーク環境整備改修工事が補助対象となります。補助率は工事費用の3分の1で、上限額は100万円です。

ウイルス対策リフォームには、各自治体が設けている補助金・助成金が活用できる場合があります。(岡山県井原市の「井原市感染症対策リフォーム補助金」や山口県宇部市の「新しい生活様式に対応した住宅リフォーム補助金」など)
新しい生活様式が推進される中、補助金を有効活用して快適な住まいにリフォームしましょう。

補助金対象になるその他の住宅リフォーム

前途で紹介した以外にも、各自治体でさまざまなリフォーム支援を行なっており、以下のような工事が対象になりやすいです。

  • アスベストの除去
  • 景観整備
  • 積雪対策

主に対象になりやすいのは、防災や環境対策のリフォーム。地域活性化を目的として、地元のリフォーム会社に依頼することや、自治体内の資源を利用することを条件としている自治体も多いです。

また、増改築・間取り変更・床暖房設置・室内のクロス張り替えなど、住環境をよくするためのさまざまな工事を補助対象としている自治体もあります。(埼玉県川口市の「川口市住宅リフォーム補助金」や北海道名寄市の「名寄市ずっと住まいる応援事業」など)

お住まいの地域ではどのようなリフォームが補助金対象となるのか、ぜひ一度調べてみましょう。補助金制度に詳しいリフォーム会社へ相談してみるのもおすすめです。

全国共通のリフォーム補助金

国が運営する補助金は、基本的に全国共通で活用できます。
「介護保険」「こどもみらい住宅支援事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」はリフォームに活用できる代表的な補助金です。各補助金の概要や補助内容をみてみましょう。

介護保険

介護のためのリフォームに活用できる「介護保険」について紹介します。

■概要
要介護者が、適切な介護を受けられる環境づくりを目的とした工事を対象に、介護給付として住宅改修費の一部が支給されます。

■リフォーム内容

  • 手すりの設置
  • 床の段差解消
  • 開き戸から引き戸へ変更
  • 滑りにくい床材へ変更
  • 和式から洋式トイレへ変更
  • 上記の工事に付随する改修工事

■補助内容
上限20万円までのリフォームが対象。所得に応じて7〜9割の補助が受けられます。(つまり、介護保険から受けられる住宅改修費は、最大18万円)
1回の工事費用が20万円に達しない場合は、数回に分けて利用可能。
補助金の支給は原則1人1回。転居した場合や要介護度が3段階以上あがった場合には、再度限度額まで受給できます。

■申請期間
申請期間の定めはないが、必ず「工事着工前」の申請が必要です。
原則償還払いで、各市区町村に申請→施工会社へ全額自費払い→工事着工・完了→後日市区町村から補助金が支払われるしくみです。

こどもみらい住宅支援事業

エコ・省エネリフォームに活用できる「こどもみらい住宅支援事業」について紹介します。

■概要
子育て支援および2050年カーボンニュートラルの実現の観点から新設。高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や省エネ改修工事に対して、一部の工事費用が補助される制度です。
リフォームに関しては、子育て世帯・若年夫婦世帯以外の世帯も対象。(新築住宅の購入にこの制度を活用できるのは、子育て・若者夫婦世帯のみ)

■リフォーム内容
(A)いずれか必須
・開口部の断熱改修
・外壁、屋根・天井、床の断熱改修
・エコ住宅設備の設置

(B)Aと同時に行う場合は補助対象
・子育て対応改修
・耐震改修
・バリアフリー改修
・空気清浄機能、換気機能付きエアコンの設置
・リフォーム瑕疵保険などへの加入

■補助内容
補助上限額:1戸あたり30万円。子育て世帯・若者夫婦世帯の場合は45万円。
※子育て世帯:19歳未満の子を有する世帯
※若者夫婦世帯:夫婦いずれかが40歳以下の世帯

■申請期間
令和3年11月26日〜令和5年3月31日

長期優良住宅化リフォーム推進事業

耐震工事やエコ・省エネリフォームに活用できる「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について紹介します。

■概要
良質な住宅ストックの形成および子育てしやすい環境整備のため創設。既存住宅の長寿命化や3世代同居などの実現に役立つリフォームに対して、工事費用の一部が補助される制度です。

なお、以下の(1)(2)を満たすことが条件になります。
(1)インスペクションを実施して、維持保全計画・履歴を作成すること
(2)工事後に耐震性・劣化対策・省エネ性が確保されていること

■リフォーム内容
(A)特定の性能項目を一定基準まで向上させる工事
・省エネ対策(例:断熱サッシへの交換、高効率給湯器の設置)
・耐震性(例:耐力壁の増設、屋根の軽量化)
・劣化対策(例:ユニットバスへの交換)
・維持管理(例:給水、排水管の更新 など)
・上記以外の性能向上工事(例:バリアフリー改修工事、テレワーク環境整備改修工事)

(B)3世代同居対応改修工事
例:キッチン、トイレ、浴室、玄関の増設

(C)子育てしやすい環境整備に資する改修工事
例:住宅内の事故防止、不審者の侵入防止

(D)自然災害に対応する改修工事
例:地震、台風、水害への備え

■補助内容
補助金額:上記リフォームにかかった費用の3分の1を補助
補助上限額:リフォーム後の住宅性能に応じて、以下のように設定されます。

(1)評価基準型
100万円/戸 (150万円/戸)
(2)認定長期優良住宅型
200万円/戸 (250万円/戸)
※()内は、(B)3世代同居対応改修工事を行う場合

■申請期間
通年申請タイプ:令和4年4月8日〜令和4年11月30日
事前釈択タイプ:令和4年4月8日〜令和4年5月27日

自治体ごとのリフォーム補助金

住宅リフォームには、国が運営する全国共通の補助金以外にも、各自治体独自の補助金が活用できます。
補助対象となる工事内容や条件は、自治体によってさまざま。主要都市で多くの人に活用されている補助金を紹介しますので、お住まいの自治体の補助金を調べるための参考にしてみてください。

東京都世田谷区【世田谷区環境配慮型住宅リノベーション推進事業補助金】

エコ・省エネリフォームに活用できる「世田谷区環境配慮型住宅リノベーション推進事業補助金」を紹介します。

■概要
世田谷区内の住宅に居住している世田谷区民に対して、エコ・省エネリフォームを行う際にかかった工事費用の一部が補助されます。世田谷区内に店舗・営業所がある施工会社と契約し、施工することが必須です。(その他諸条件あり)

■リフォーム内容

  • 外壁、窓、屋根の断熱改修
  • 太陽熱ソーラーシステム、または太陽熱温水器の設置
  • 高断熱浴槽の設置
  • 太陽光発電システムの設置
  • 家庭用燃料電池(エネファーム)の設置

(上記の工事とあわせて行うことを条件に、高効率給湯器の設置と外壁塗装も補助対象となる)

■補助内容
補助金額:工事費用の10%(窓の断熱改修は20%)
補助上限額:最大40万円(工事内容によって異なる)

■申請期間

  • 家庭用燃料電池(エネファーム)以外の申請:令和4年4月1日〜令和5年1月31日
  • 家庭用燃料電池(エネファーム)の申請:令和4年4月1日〜令和5年2月28日

(施工期限:令和5年2月28日までに工事完了のこと)

神奈川県横浜市【横浜市住まいのエコリノベーション(省エネ改修)補助制度】

※令和4年度の実施内容については現在検討中
エコ・省エネリフォームに活用できる「横浜市住まいのエコリノベーション(省エネ改修)補助制度」を紹介します。

■概要
横浜市内にある住宅の省エネ性能向上リフォームを対象として、工事にかかった費用の一部が補助されます。
工事金額が税込100万円以上となる場合は、市内の施工会社への発注が必須です。(その他諸条件あり)

■リフォーム内容

  • 窓、玄関ドアの断熱改修
  • 外壁、屋根、床の断熱改修
  • 太陽光発電の設置  など

■補助内容
補助上限額:最大200万円(工事内容によって異なる)

■申請期間
令和4年度については検討中

大阪府大阪市【大阪市空家利活用改修補助事業】

近年推進されている「空き家の利活用」を目的としたリフォームに使える「大阪市空家利活用改修補助事業」を紹介します。

■概要
空き家の利活用に向けた良質なストックへの改修推進が目的。空き家のインスペクションや空き家所有者による住宅性能向上に資する改修に対して、工事費用の一部が補助されます。
不動産市場に賃貸用または売却用として流通しておらず、3か月以上の空き家であることが必須です。(その他諸条件あり)

■リフォーム内容

  • インスペクション
  • 耐震診断
  • 耐震改修設計
  • 耐震改修工事
  • テレワーク環境整備のための工事
  • バリアフリーなどの性能向上に資する改修工事

■補助内容
補助率:工事費用の2分の1(耐震診断は11分の10、耐震改修設計は3分の2)
補助上限額:最大100万円(工事内容によって異なる)

■申請期間
令和4年12月15日まで
(インスペクション・耐震診断・耐震改修設計は令和4年12月28日まで)

減税制度や非課税措置などを組み合わせてお得な住宅リフォームを実現

住宅リフォームの優遇制度は、補助金だけではありません。
省エネや耐震を目的とした工事には「リフォーム減税」が適用されます。また、リフォーム費用として親族から贈与された費用は、最大1,000万円まで贈与税が非課税となる制度があります。
減税制度や非課税措置は、各種補助金との併用が可能。これらを組み合わせることで、お得な住宅リフォームが実現します。
ただし【国の補助金×国の補助金】や、【住宅ローン減税×リフォーム減税】などの組み合わせは併用できません。
「どの制度とどの制度が併用できるのか」「どの補助金を活用するのが1番お得なのか」といった判断は、専門的な知識がないと難しい場合も多いです。迷ったときには、補助金制度に詳しいリフォーム会社へ相談してみるとよいでしょう。

まとめ

リフォーム補助金制度と減税・非課税措置を組み合わせて活用すると、とてもお得に住宅リフォームができます。
補助金の種類によって、利用条件や対象となる工事内容に違いがあるので、まずは利用できそうな補助金をピックアップしてみましょう。
どの補助金が活用できるのかわかりにくい場合には、リフォーム業者へ相談するのもオススメです。スペースアップではさまざまな補助金を活用したリフォーム実績があるので、ぜひお気軽にご相談ください。

記事の監修者

リフォームアドバイザー

藤本塁

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。

お客様のお困りごとやご要望を伺い、提案から完工までをトータルでサポート。お客様からのご依頼に合わせて、豊富な知識と経験を駆使し、安心安全快適な暮らしをご提案。商品の特性や選び方から費用の目安など、理想の暮らしをご検討する際のポイントや注意点を、わかりやすくお伝えします。